「インターネットが繋がらない……これってDNSの問題?」
「DNSサーバーって何? どれを選べばいいの?」
「ウェブサイトを運営するなら、DNS設定が必要って聞いたけど、何から始めればいいの?」
インターネットを利用する中で、「DNS」や「DNSサーバー」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。
しかし、その仕組みや役割、さらに適切な設定方法や選び方について、具体的に理解している人は少ないかもしれません。
DNS(Domain Name System)は、インターネットを支える基盤の一つであり、私たちが普段使っているドメイン名(例:www.example.com)をIPアドレスに変換してくれる重要な仕組みです。
DNSサーバーの正しい設定や選択は、インターネットの速度やセキュリティ、信頼性に大きく影響します。
本記事では、DNSとDNSサーバーの基礎知識から、役割、設定方法、選び方、さらにはトラブルシューティングのポイントまでをわかりやすく解説します。
初心者の方から、ウェブサイト運営者、ITエンジニアの方まで、すべての方に役立つ情報を網羅しています。
ぜひ最後までご覧ください!
なお、以下の記事では、ドメインについて初心者向けに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

DNSとは?
DNS(Domain Name System)は、「ドメイン名とIPアドレスを紐づける仕組み」であり、インターネット通信を円滑に行うための重要な役割を担っています。
以下で、DNSの基本概念とその重要性について詳しく説明します。
なお、以下の記事では、IPアドレスについて初心者向けに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

ドメイン名とIPアドレスを紐づける仕組み
インターネット上のすべてのデバイス(コンピュータ、サーバー、スマートフォンなど)は、IPアドレスと呼ばれる数値(例:192.168.1.1、またはIPv6形式では2001:0db8::1)を持っています。
このIPアドレスは、ネットワーク上でデバイスを一意に識別するためのものです。
しかし、IPアドレスは人間にとって覚えにくいため、「ドメイン名」(例:www.example.com)が使用されます。
DNSは、この人間にとってわかりやすいドメイン名を、対応するIPアドレスに変換する役割を果たします。
DNSの基本的な流れ:
- ユーザーがWebブラウザで「www.example.com」と入力します。
- DNSは、このドメイン名に対応するIPアドレス(例:93.184.216.34)を見つけ出し、ユーザーのデバイスに応答します。
- このIPアドレスを使用して、ブラウザは目的のサーバーに接続し、Webサイトを表示します。
この仕組みにより、ユーザーは複雑な数値を覚える必要がなく、Webサイトにアクセスできます。
インターネット通信を支える重要な役割
DNSは、インターネット通信の基盤ともいえる存在です。その役割は次の通りです:
1. 効率的なアクセスを実現
DNSがなければ、ユーザーはIPアドレスを直接入力してWebサイトやサービスにアクセスする必要があります。
しかし、DNSのおかげで、簡単な名前(例:www.google.com)を使って迅速に目的のサイトに接続できます。
2. 大規模なインターネット運用を可能に
インターネットには無数のドメイン名とIPアドレスがありますが、DNSの階層構造と分散管理により、それらを効率的に処理しています。
各地域やドメインに分散して管理されているため、地球規模でのインターネット運用が可能となっています。
3. 信頼性と可用性の向上
DNSはキャッシュ機能を備えており、よく利用されるドメイン名とIPアドレスのデータを一時的に保存します。
これにより、リクエストの処理速度が向上し、インターネットサービスの安定性が確保されます。
4. インターネットセキュリティの基盤
DNSはセキュリティ上の役割も担っています。
たとえば、「DNSSEC(DNS Security Extensions)」はDNSデータの改ざんやなりすましを防ぎ、安全な通信をサポートします。
補足:DNSがない世界のイメージ
もしDNSがなかった場合、ユーザーは各WebサイトのIPアドレスを個別に覚えなければならず、インターネットの利用が非常に煩雑になります。
DNSは、こうした複雑さを解消し、インターネットを日常的に利用できるものにしているのです。
DNSの仕組み
DNS(Domain Name System)の仕組みは、インターネット上で人間が使いやすいドメイン名をIPアドレスに変換し、正しいサーバーに接続するためのプロセスです。
この変換プロセスを「DNSの名前解決」と呼びます。
以下では、DNSの名前解決プロセスを順を追って説明します。
DNSの名前解決プロセス
DNSの名前解決プロセスは、ユーザーがWebブラウザなどでドメイン名を入力した後、最終的にWebサイトが表示されるまでの流れを指します。
主なステップは以下の通りです。
1. ユーザーがドメイン名を入力する
ユーザーがブラウザで「www.example.com」といったドメイン名を入力すると、最初にそのリクエストがコンピュータやスマートフォンから送信されます。
この時点では、デバイスは「www.example.com」の対応するIPアドレスを知りません。
デバイスはまずローカル(自分の端末内)のDNSキャッシュを確認します。もし過去に同じドメイン名を検索した履歴が残っていれば、そのIPアドレスがキャッシュから返され、次のステップはスキップされます。
2. DNSクエリがキャッシュDNSサーバーに送られる
キャッシュに情報がない場合、デバイスはインターネットサービスプロバイダ(ISP)や企業ネットワークが提供するキャッシュDNSサーバー(再帰的DNSサーバー)にリクエストを送ります。
キャッシュDNSサーバーは、過去に問い合わせたデータを一定期間保持しており、キャッシュ内に該当するIPアドレスがあれば、その情報を返します。
キャッシュDNSサーバーによるこのプロセスは、通信速度を向上させるための重要な役割を果たしています。
3. キャッシュがない場合、権威DNSサーバーに問い合わせる
もしキャッシュDNSサーバーにも該当するIPアドレスがない場合、キャッシュDNSサーバーは問い合わせを上位のDNSサーバーに転送します。
この際、以下の順序でDNSサーバーをたどります:
- ルートDNSサーバー
DNSの最上位に位置するサーバーで、トップレベルドメイン(TLD)に関する情報を管理します。たとえば、「.com」「.org」「.jp」などのTLDに対応するDNSサーバーを案内します。 - TLD DNSサーバー
指定されたTLD(例:.com)の権威DNSサーバーの情報を返します。このサーバーは、特定のドメイン(例:www.example.com)のデータを管理している権威DNSサーバーを案内します。 - 権威DNSサーバー
最後に、該当するドメイン名(例:www.example.com)のIPアドレス情報を直接管理している権威DNSサーバーに到達します。
4. 権威DNSサーバーが正しいIPアドレスを応答する
権威DNSサーバーは、ドメイン名に対応する正しいIPアドレス(例:93.184.216.34)をキャッシュDNSサーバーに応答として送信します。
この権威DNSサーバーは、そのドメインの管理者やホスティングサービスが運用しています。
5. キャッシュサーバーがデバイスに応答を送信する
キャッシュDNSサーバーは、権威DNSサーバーから受け取ったIPアドレスを、最初にリクエストを送ったユーザーのデバイスに返します。
このとき、キャッシュDNSサーバーはデータを一時的に保存(キャッシュ)し、次回同じリクエストがあった場合には迅速に応答できるようにします。
ユーザーのデバイスがIPアドレスを受け取ると、そのIPアドレスを基にWebサーバーに接続し、目的のWebサイトを表示します。
補足:DNSのキャッシュとTTL(Time to Live)
DNSにはキャッシュ機能があり、TTL(Time to Live)と呼ばれる期限までデータを保存します。
これにより、同じリクエストを繰り返さないようにして、通信の負担を軽減します。
ただし、TTLが切れた場合には再度名前解決プロセスが行われます。
DNSの名前解決プロセスまとめ
- ユーザーがドメイン名を入力する。
- キャッシュDNSサーバーでキャッシュを確認。
- キャッシュがない場合、権威DNSサーバーに問い合わせる。
- 権威DNSサーバーが正しいIPアドレスを返す。
- キャッシュDNSサーバーがデバイスに応答を送信する。
この一連のプロセスが非常に短時間で行われることで、ユーザーはスムーズにWebサイトへアクセスすることが可能になります。
DNSサーバーとは?
DNSサーバー(Domain Name System Server)は、ドメイン名をIPアドレスに変換する役割を持つ重要なネットワークサービスです。
インターネット上でWebサイトにアクセスする際、人間にとって覚えやすいドメイン名(例:www.example.com)を、通信に必要なIPアドレス(例:93.184.216.34)に変換します。
このプロセスにより、ユーザーはWebサイトやオンラインサービスをスムーズに利用できるようになります。
DNSサーバーの役割
DNSサーバーはインターネット通信の基盤を支える重要な役割を果たしています。
具体的には以下の役割があります:
- 名前解決(ドメイン名からIPアドレスへの変換)
ユーザーが入力したドメイン名を対応するIPアドレスに変換し、正しいサーバーに接続するための中継点として機能します。 - 分散型管理
インターネット上には膨大な数のドメインとIPアドレスがありますが、DNSサーバーはこのデータを分散して管理することで、システム全体の負荷を軽減しつつ、高速な応答を実現します。 - キャッシュによる効率化
過去の問い合わせ結果を一時的に保存することで、同じリクエストに対する処理を短縮し、通信の効率を高めます。 - 権威データの提供
特定のドメインに関する公式なIPアドレス情報を管理し、正確なデータを提供します。
種類
DNSサーバーには複数の種類があり、それぞれが異なる役割を担っています。
以下に主要なDNSサーバーの種類を説明します。
権威DNSサーバー (Authoritative Server)
権威DNSサーバーは、特定のドメイン名に関する正式なデータ(IPアドレスやDNSレコード)を保持しているサーバーです。このサーバーは、ユーザーや他のDNSサーバーからの問い合わせに対して、正確な情報を提供します。
- 役割:
特定のドメイン(例:www.example.com)のデータを直接管理し、そのデータを提供する役割を果たします。 - 利用例:
ドメインを所有する企業やWebホスティングサービスが運用するDNSサーバーで、その企業のWebサイトやメールサービスを動かすために必要な情報を管理します。 - 例となるDNSレコード:
- Aレコード(IPv4アドレス)
- AAAAレコード(IPv6アドレス)
- MXレコード(メールサーバー情報)
キャッシュDNSサーバー (Caching Server)
キャッシュDNSサーバーは、名前解決の過程で取得したIPアドレス情報を一時的に保存し、後のリクエストに対して迅速に応答できるようにするサーバーです。
これにより、同じドメイン名への問い合わせを繰り返す必要がなくなり、全体の通信速度を向上させます。
- 役割:
過去に問い合わせたドメイン名と対応するIPアドレスを一定期間保存し、同じリクエストに対して迅速に応答します。 - 特徴:
- 一時的なデータ保存を行うため、権威DNSサーバーに問い合わせる頻度を減らします。
- 通信コストを削減し、応答時間を短縮します。
- 注意点:
キャッシュに保存されるデータには有効期限(TTL: Time to Live)が設定されており、期限が切れるとデータは削除され、再度名前解決プロセスが行われます。
再帰DNSサーバー (Recursive Server)
再帰DNSサーバーは、ユーザーのデバイスから送られてきた名前解決のリクエストを受け取り、必要な情報を見つけるまで他のDNSサーバーに問い合わせを行うサーバーです。
ISPや企業ネットワークが提供するDNSサーバーの多くは再帰DNSサーバーとして機能しています。
- 役割:
- ユーザーのリクエストに基づいて、名前解決プロセスを開始します。
- キャッシュに情報がない場合は、ルートDNSサーバーや権威DNSサーバーに問い合わせを行い、最終的に正しいIPアドレスを取得します。
- 動作の流れ:
- ユーザーのデバイスからリクエストを受け取る。
- キャッシュにデータがない場合、ルートDNSサーバーに問い合わせる。
- TLD DNSサーバーを経由し、権威DNSサーバーに到達する。
- 権威DNSサーバーからの応答をユーザーに返す。
- 特徴:
再帰的に他のDNSサーバーをたどるため、ユーザーは一度のリクエストで名前解決を完了することができます。
種類の比較表
| 種類 | 役割 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 権威DNSサーバー | 正確なドメイン名とIPアドレスのデータを提供 | ドメインの管理、公式データの応答 |
| キャッシュDNSサーバー | 過去の問い合わせ結果を一時保存し高速化を実現 | 通信速度の向上、再利用可能な応答 |
| 再帰DNSサーバー | 他のDNSサーバーをたどり名前解決を完了させる | ISPや企業が提供する名前解決サービス |
DNSサーバーはインターネットを快適に利用するために欠かせない存在です。
それぞれのサーバーが異なる役割を担い、協力し合うことで、ユーザーが素早く正確にWebサイトやオンラインサービスにアクセスできる仕組みを実現しています。
DNSサーバーの設定方法
DNSサーバーの設定は、ドメインを正しく機能させるために重要な作業です。
ネームサーバーを選び、それに基づいてDNSレコードを設定することで、Webサイト、メール、その他のサービスを適切に動作させることができます。
以下の記事では、DNSレコードについて初心者向けに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

1. ネームサーバーの選択
ネームサーバー(Name Server)は、ドメイン名と関連するDNSレコードを管理するサーバーです。
ドメインを購入した際に使用するネームサーバーを選択する必要があります。
- 選択肢:
- ドメイン登録業者が提供するネームサーバー
多くのドメイン登録業者(例:GoDaddy、Namecheap)は、標準的なネームサーバーを提供しています。 - サードパーティのDNSサービス より高速でカスタマイズ性の高いDNSサービスを利用したい場合、以下のようなサービスを選ぶことができます:
- Cloudflare
- Google Public DNS
- Amazon Route 53
- 独自のネームサーバー
自社のサーバーを使用して独自のDNSを管理することも可能です。主に企業や組織で利用されます。
- ドメイン登録業者が提供するネームサーバー
- 選択基準:
- 信頼性と可用性(障害時でも利用可能な冗長性があるか)
- 応答速度(地理的に近いサーバーを選ぶことで高速化が可能)
- セキュリティ機能(DDoS攻撃対策、DNSSECサポート)
2. ネームサーバーの変更手順
ネームサーバーの変更は、ドメイン管理者がドメイン登録業者の管理画面から行うのが一般的です。
- 一般的な手順:
- ドメイン管理画面にログイン
ドメインを登録した業者のWebサイトにログインします。 - 対象のドメインを選択
管理画面から設定を変更したいドメインを選びます。 - ネームサーバーの設定項目に移動
「DNS設定」や「ネームサーバー設定」のメニューを探します。 - 新しいネームサーバーを入力
使用するネームサーバー(例:ns1.example.com、ns2.example.com)を入力します。 - 変更を保存
変更を適用すると、通常24〜48時間以内にインターネット全体に反映されます(DNSの伝播時間)。
- ドメイン管理画面にログイン
- 注意点:
- ネームサーバーを変更すると、それに関連付けられたDNSレコードも新しいネームサーバーに移行する必要があります。
- 変更中に一時的なサービス停止が発生する可能性があるため、計画的に実施することが重要です。
3. DNSレコード設定の概要
DNSレコードは、ドメイン名に関連する情報を定義する設定です。
各レコードには特定の役割があり、ドメインの機能に影響を与えます。
Aレコード、CNAMEレコード、MXレコードの役割
- Aレコード(Address Record)
- 役割:
ドメイン名をIPv4アドレスに紐づけます。 - 使用例:
example.com→93.184.216.34
ドメイン名を特定のWebサーバーに関連付ける。
- ポイント:
ドメインにアクセスする際の基本的な名前解決に使用されます。
- 役割:
- CNAMEレコード(Canonical Name Record)
- 役割:
別のドメイン名(エイリアス)を参照します。Aレコードの代わりに設定されることが多いです。 - 使用例:
www.example.com→example.com
サブドメインをメインドメインにリダイレクトする。
- ポイント:
サーバーのIPアドレスを変更しても、CNAMEを利用することで簡単に他の設定を保持できます。
- 役割:
- MXレコード(Mail Exchange Record)
- 役割:
ドメインに送信されたメールを処理するメールサーバーを指定します。 - 使用例:
example.com→mail.example.com
メールサーバーを定義し、受信したメールを適切にルーティングします。
- ポイント:
メールシステムの動作に必須の設定で、優先順位(Preference値)を設定することで複数のメールサーバーを指定できます。
- 役割:
DNSサーバーの設定は、ネームサーバーの選択と変更、DNSレコードの正しい設定に分けられます。
これらを適切に行うことで、Webサイトやメールサービスなど、ドメインを利用したさまざまなオンライン機能を正確かつ効率的に動作させることができます。
特にAレコード、CNAMEレコード、MXレコードは基本的な設定であり、ドメイン管理者が正確に理解しておくべき重要な要素です。
DNSサーバーの設定確認方法
DNSサーバーの設定が正しく適用されているか確認することは、トラブルシューティングや変更後の動作確認において非常に重要です。
以下に、設定を確認する手順を詳しく説明します。
設定の確認手順
DNSサーバーの設定確認は、コマンドラインツールを利用したり、時間を置いて再確認したりする方法で行います。
コマンドプロンプトを使う方法
WindowsやMac、LinuxなどのOSに備わっているコマンドラインツールを使って、DNSサーバー設定の確認が可能です。
以下は代表的なコマンドとその使用方法です。
- Windowsの場合(コマンドプロンプトまたはPowerShellを使用)
- nslookupコマンド
- ドメイン名に対するDNS応答を確認します。
- 例:
nslookup example.com- **結果例**:Server: dns-server.example.com Address: 192.168.1.1 Name: example.com Address: 93.184.216.34上記結果から、ドメイン名に紐づくIPアドレス(93.184.216.34)を確認できます。- pingコマンド
- ドメイン名が正しく名前解決されているか確認します。
- 例:
ping example.com- 結果にIPアドレスが表示されることで、設定が正しく動作していることを確認できます。- ipconfig /displaydns
- キャッシュDNSサーバーに保存された情報を確認します。
- 例:
ipconfig /displaydns - nslookupコマンド
- MacまたはLinuxの場合(ターミナルを使用)
- digコマンド(Linux系)
- DNSサーバーの応答を詳細に確認します。
- 例:
dig example.com- **結果例**:;; ANSWER SECTION: example.com. 3600 IN A 93.184.216.34ANSWER SECTIONに表示されたIPアドレスが設定内容を示します。- nslookupコマンド
- Windows同様に利用可能です。
- hostコマンド
- シンプルな出力で名前解決を確認できます。
- 例:
host example.com - digコマンド(Linux系)
- Webツールを使った確認
- コマンドを利用できない場合は、以下のようなオンラインツールを活用する方法もあります。
時間を置いて再確認する
DNS設定を変更した場合、反映されるまで時間がかかることがあります。
これを「DNS伝播(Propagation)」と呼びます。
以下の点に注意して確認を行ってください。
- 伝播時間を理解する
- DNSの変更がインターネット全体に行き渡るまで、通常24~48時間かかることがあります。
- TTL(Time to Live)の設定により、キャッシュの有効期限が変動します。
- 一定時間ごとに再確認
- 設定後、数時間おきにnslookupやdigコマンドを使用して動作を確認します。
- 初期反映時には、一部の地域やネットワークではまだ古い情報が参照されることがあるため、複数回確認を行います。
- キャッシュの影響を排除する
- DNSクエリがローカルキャッシュやISPのキャッシュを参照している場合があります。その場合は以下を試してください:
- ローカルキャッシュの削除:
Windows:cmd ipconfig /flushdns
Mac:bash sudo dscacheutil -flushcache - 別のDNSサーバーを利用する:
Google Public DNSやCloudflareのDNS(8.8.8.8や1.1.1.1など)を一時的に設定し、再確認します。
- ローカルキャッシュの削除:
- DNSクエリがローカルキャッシュやISPのキャッシュを参照している場合があります。その場合は以下を試してください:
DNSサーバーの設定確認は、正しい応答が得られているかをコマンドラインやオンラインツールで検証することが重要です。
加えて、DNS伝播に伴う遅延を考慮して、時間を置いて再確認を行いましょう。
また、キャッシュの影響を排除することで、より正確な結果を得ることができます。
この手順を理解し、適切に実施することで、DNS関連のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
DNSサーバーのエラーとトラブルシューティング
DNSサーバーのエラーは、ウェブサイトへのアクセス不可やインターネット接続の遅延など、日常的なインターネット使用に支障をきたす問題を引き起こします。
ここでは、DNSエラーの主な原因とそれに対するトラブルシューティング方法を説明します。
エラーが起こる原因
DNSサーバーのエラーは、システムやネットワークのさまざまな要因によって引き起こされます。
主な原因を以下に分類して説明します。
1. インターネット接続がない
原因
- 物理的な接続の問題(LANケーブルの断線やWi-Fiの接続不良)
- ルーターやモデムの障害
- インターネットサービスプロバイダー(ISP)の回線障害
対策
- 物理的な接続を確認
- LANケーブルが正しく接続されているか確認します。Wi-Fiの場合は、デバイスが正しいネットワークに接続されていることを確認します。
- ルーターやモデムの再起動
- 電源をオフにして数秒待ち、再度電源を入れます。これにより、一時的な接続不良が解消される場合があります。
- ISPの障害を確認
- 他のデバイスやネットワークで接続を確認し、ISPの障害情報をウェブサイトやアプリでチェックします。
2. DNSサーバーのダウン・接続不能
原因
- 使用中のDNSサーバー(Google Public DNS、ISP提供のDNSなど)が一時的にダウンしている
- DNSサーバーの設定ミスやタイムアウト
対策
- パブリックDNSに切り替え
- Google Public DNS(8.8.8.8, 8.8.4.4)やCloudflare DNS(1.1.1.1, 1.0.0.1)を設定します。
- 別のネットワークで確認
- 他のネットワーク環境(例えばモバイルデータ通信)を利用し、問題がDNSサーバー固有かどうかを確認します。
- nslookupやdigでテスト
- 例:
cmd nslookup example.com 8.8.8.8- 特定のDNSサーバーを利用して名前解決が可能か確認します。
- 例:
3. DNSキャッシュの問題
原因
- デバイスやルーター、またはISPに保存された古いキャッシュ情報
- キャッシュの破損や不整合
対策
- ローカルキャッシュをクリア
- Windowsの場合:
cmd ipconfig /flushdns - Macの場合:
bash sudo dscacheutil -flushcache - Linuxの場合:
キャッシュサービス(例:systemd-resolved)を再起動します。bash sudo systemctl restart systemd-resolved
- Windowsの場合:
- ブラウザキャッシュのクリア
- ブラウザの設定メニューからキャッシュとCookieを削除します。
- ルーターの再起動
- ルーターに保存されたキャッシュをクリアするために、電源を一度オフにして再起動します。
4. ネットワーク構成の問題
原因
- DHCPの設定エラーやIPアドレスの競合
- プロキシサーバーやVPNの誤設定
- セキュリティソフトやファイアウォールがDNS通信をブロックしている
対策
- ネットワーク設定の確認
- IPアドレスの競合が起きていないか、ネットワーク接続設定を確認します。
例:cmd ipconfig /all
正しいIPアドレスが割り当てられていることを確認します。
- IPアドレスの競合が起きていないか、ネットワーク接続設定を確認します。
- セキュリティソフトとファイアウォールの設定確認
- セキュリティソフトやファイアウォールがDNS通信を妨害している場合があります。一時的に無効化して動作を確認してください。
- プロキシとVPNの設定確認
- プロキシやVPNを利用している場合は、それらを無効化し、再度確認します。
DNSエラーの原因を特定するには、物理的な接続、DNSサーバー設定、キャッシュ、およびネットワーク構成を順にチェックすることが重要です。
基本的な対策として、キャッシュのクリアやルーターの再起動、パブリックDNSの利用を試すことで、多くの問題が解決できます。
また、ネットワーク全体の構成やセキュリティ設定も確認し、問題解決に役立ててください。
対処方法
DNSエラーが発生した際には、原因に応じた適切な対処を行うことが重要です。
ここでは、代表的な解決策を順を追って解説します。
1. ネットワーク診断を行う
概要
ネットワークの接続状況やDNSサーバーの応答を確認するため、診断ツールを活用します。
手順
- Windowsの場合
- ネットワークトラブルシューティングツールを利用します。
「設定」→「ネットワークとインターネット」→「ネットワークのトラブルシューティング」を選択。
- ネットワークトラブルシューティングツールを利用します。
- コマンドラインツールを利用する
- pingコマンドで接続状況を確認。
cmd ping 8.8.8.8 - nslookupコマンドでDNSサーバーの応答を確認。
cmd nslookup example.com - tracertコマンドでネットワーク経路を調査。
cmd tracert example.com
- pingコマンドで接続状況を確認。
注意点
- ネットワーク診断で特定できない場合は、他の対処法を試します。
2. ルーターの再起動・リセット
概要
DNSエラーの原因がルーターにある場合、再起動やリセットで問題が解決することがあります。
手順
- 再起動
- ルーターの電源をオフにし、30秒ほど待ってから再びオンにします。
- リセット
- リセットボタンを長押しして初期設定に戻します。リセット後は設定が必要になるため、注意してください。
メリット
- 一時的なネットワーク障害やキャッシュの問題を解決できます。
3. デバイスの再起動
概要
デバイス自体の一時的な不具合やネットワーク設定の不整合を解消します。
手順
- PCやスマートフォンをシャットダウンし、再起動します。
- 再起動後、ネットワークに再接続し、問題が解消したか確認します。
ポイント
- 特にOSアップデート後や長時間使用後に試すと効果的です。
4. パブリックDNSの利用(Google DNS、Quad9など)
概要
信頼性の高いパブリックDNSに変更することで、現在利用中のDNSサーバーに起因する問題を回避します。
手順
- Google Public DNS(8.8.8.8, 8.8.4.4)の設定
- Windowsの場合
「ネットワークとインターネットの設定」→「アダプターオプションを変更する」→対象のネットワークを右クリックし「プロパティ」を選択→IPv4のプロパティでDNSサーバーを手動設定。 - Macの場合
「システム設定」→「ネットワーク」→「DNS」タブで手動設定。
- Windowsの場合
- Quad9(9.9.9.9, 149.112.112.112)など他のパブリックDNSも選択可能。
メリット
- 高速かつセキュアなDNS解決が可能になります。
5. IPv6の無効化
概要
IPv6が有効化されている環境では、一部のネットワークで問題が発生することがあります。
IPv6を無効化して動作確認を行います。
手順
- Windowsの場合
- 「ネットワークとインターネットの設定」→「アダプターオプションを変更する」→対象ネットワークを右クリックし「プロパティ」を選択→「Internet Protocol Version 6 (TCP/IPv6)」のチェックを外して無効化。
- Macの場合
- 「システム設定」→「ネットワーク」→対象のネットワークを選択→「詳細」→「TCP/IP」タブでIPv6を無効化。
メリット
- IPv6関連の不具合を解消できます。
6. 不要なネットワークアダプタの無効化
概要
デバイスに複数のネットワークアダプタが有効になっていると、競合が発生しDNSエラーを引き起こす場合があります。
手順
- Windowsの場合
- 「デバイスマネージャー」を開く→「ネットワークアダプタ」を展開→使用していないアダプタを右クリックして「無効化」。
- Macの場合
- 「システム設定」→「ネットワーク」→未使用のネットワークを選択し「非アクティブ化」。
注意点
- 使用しているネットワークアダプタを無効化しないよう注意してください。
DNSエラーの対処方法は、ネットワーク診断からルーターやデバイスの再起動、パブリックDNSの利用、IPv6の無効化まで幅広く存在します。
これらの手順を試すことで、多くのDNS関連の問題を解消できるでしょう。
また、問題が解決しない場合は、ISPやネットワーク管理者に問い合わせることを検討してください。
DNSサーバーの選び方
DNSサーバーを選ぶ際には、セキュリティ性や速度、運営会社の信頼性などを考慮する必要があります。
これらのポイントについて詳しく解説します。
ポイント
DNSサーバーを選ぶ際の主な判断基準は以下の通りです。
高いセキュリティ性
概要
DNSサーバーは、インターネット通信の中継点として重要な役割を果たすため、セキュリティ対策が施されているものを選ぶことが重要です。
考慮すべき点
- DNSSEC対応
- DNSSEC(Domain Name System Security Extensions)は、名前解決のプロセスでデータの正当性を保証する技術です。DNSSEC対応のサーバーは、不正なリダイレクトや偽のDNS応答から保護します。
- フィルタリング機能
- 悪意のあるウェブサイトやフィッシングサイトをブロックする機能があるDNSサーバーを選ぶと、セキュリティが向上します。
- 例: Quad9やOpenDNSはフィルタリング機能を提供しています。
具体例
- Quad9(9.9.9.9)
高いセキュリティ対策が施され、悪意のあるドメインのブロック機能を備えています。 - Cloudflare DNS(1.1.1.1)
プライバシーを重視し、ログを保持しない運用ポリシーがあります。
アクセススピード
概要
DNSサーバーの応答速度は、インターネット接続の体感速度に大きく影響します。高速なDNSサーバーを選ぶことで、ウェブサイトの読み込み時間を短縮できます。
考慮すべき点
- 地理的距離
- ユーザーの所在地に近いサーバーを持つDNSプロバイダーを選ぶと、アクセス速度が向上します。
- キャッシュの効率性
- キャッシュ機能が優れたサーバーは、頻繁にアクセスされるウェブサイトへの応答を高速化します。
具体例
- Google Public DNS(8.8.8.8, 8.8.4.4)
世界中に分散配置されたサーバーがあり、非常に高速な応答が期待できます。 - Cloudflare DNS(1.1.1.1)
パフォーマンスが高く、低遅延での応答が特徴です。
運営会社の信頼性
概要
DNSサーバーを運営する会社が信頼できるかどうかも重要なポイントです。不正利用やデータ漏洩のリスクを避けるため、実績のあるプロバイダーを選びましょう。
考慮すべき点
- 運営実績
- 長年にわたり安定した運営を続けている企業が提供するDNSサーバーは信頼性が高いです。
- プライバシーポリシー
- DNSクエリのログを保持せず、データを第三者に共有しない運営方針を持つプロバイダーを選びます。
具体例
- Google
世界最大のIT企業であり、インフラが非常に安定しています。 - Cloudflare
プライバシー重視のポリシーを持ち、信頼性が高いサービスを提供しています。
サポート体制
概要
トラブル発生時に迅速に対応できるサポート体制が整っているかどうかも重要な要素です。
考慮すべき点
- サポートチャネルの種類
- 問い合わせフォーム、メール、電話、チャットなど、複数のサポート手段が提供されているかを確認します。
- サポートの対応速度
- 問題が発生した場合に迅速に対応してもらえるかどうかが重要です。
具体例
- 有料DNSサービス
Amazon Route 53やDynなど、有料DNSサービスは充実したサポートを提供しています。 - 無料DNSサービス
一部の無料サービスもFAQやコミュニティフォーラムを通じてサポートを提供しています。
DNSサーバーを選ぶ際は、セキュリティ性、応答速度、運営会社の信頼性、サポート体制を考慮することが重要です。
具体的な利用目的や環境に合わせて最適なDNSサーバーを選ぶことで、快適で安全なインターネット体験を実現できます。
まとめ
DNSとDNSサーバーは、私たちのインターネット利用を支える不可欠な仕組みです。
本記事では、DNSの基本的な仕組みから、具体的な設定方法、選び方、さらにはトラブルシューティングまで詳しく解説してきました。
正しいDNS設定は、インターネットの速度や安全性、さらには信頼性に直結します。
特にウェブサイト運営者や企業にとって、DNSサーバーの選択は事業の安定性を左右する重要なポイントです。
本記事を参考にして、自分に合ったDNSサーバーを選び、正しく設定することで、快適で安心なインターネット環境を構築してみてください。
何かトラブルが発生した際も、この記事のトラブルシューティングのセクションを活用して解決のヒントを得てください。

