EC-CUBEとは|できること・向き不向き・導入手順を初心者向けに徹底解説
ECサイトを立ち上げようと調べていると、「EC-CUBE」という名前をよく目にしませんか。
国産のEC構築ツールとして長く使われてきた一方で、調べれば調べるほど、こんな疑問が増えていくはずです。
「EC-CUBEって結局、何ができるの? ShopifyみたいなSaaSと何が違うの?」
「“無料で使える”って本当? サーバー代や保守費はどれくらい見ておけばいい?」
「自社にエンジニアがいないけど運用できる? 外注やクラウド型の選び方は?」
「プラグインで何でも足せるって聞くけど、入れすぎると危険なの?」
「セキュリティやアップデートは大丈夫? 脆弱性対応って何をすればいい?」
「導入手順は難しい? インストールでつまずきやすいポイントは?」
「結局、EC-CUBEが“合う”のはどんなビジネス? 合わないケースも知りたい」
EC-CUBEは、自由度の高さと引き換えに、運用の設計(保守・更新・体制づくり)が重要になるタイプのEC基盤です。
そのため「何となく良さそう」で選ぶと、公開後に「更新できない」「保守が回らない」「想定外のコストが出た」という失敗につながりがちです。
そこで本記事では、初心者の方でも判断を誤らないように、EC-CUBEを “実務の順番”で整理します。
- EC-CUBEの基本(仕組み・提供形態・バージョンの考え方)
- できること(商品・受注・会員・決済・配送などを業務フローで理解)
- プラグイン/テンプレの賢い使い方(最短で強くするが、入れすぎない)
- 導入前に固めるべきこと(要件・サーバー・体制・費用の見積もり)
- インストールの最短ルート(つまずきやすいポイントも含めて)
- 運用とセキュリティ(守るべき優先順位・更新計画)
- SEO・集客、他サービス比較、移行まで(長期運用の視点)
「EC-CUBEが向くかどうか」を判断できることはもちろん、導入する場合でも 公開後に困らない進め方がわかる構成にしています。
読み終わるころには、あなたの状況にとって「EC-CUBEが最適か」「別の選択肢が安全か」を自信を持って選べるはずです。
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EC-CUBEは、ひとことで言うと 「自由度が高い代わりに、運用責任も増えるECプラットフォーム」 です。
向き・不向きを最初に切り分けると、判断がブレません。
| 観点 | 合う | 合わない |
|---|---|---|
| 目的 | “他社と違う体験”を作って売上を伸ばしたい | まずは最短で開店したい |
| 体制 | 開発・保守(内製 or パートナー)を確保できる | 保守担当がいない/外注も避けたい |
| 要件 | BtoB、複雑な受注、基幹連携など独自要件がある | 標準機能の範囲で十分 |
| リスク許容 | セキュリティ・アップデートを継続できる | 更新作業や監視を負担に感じる |
ポイントは「機能の多さ」よりも、要件と運用を回せるかです。✅
EC-CUBEが刺さるのはどんなビジネス?(BtoC/BtoB・独自要件・拡張前提)
EC-CUBEが強いのは、“ECが事業の中核”で、仕組みを自分たちの商売に合わせたいケースです。
特に次のような要件があると、EC-CUBEの価値が出やすいです。
BtoCで刺さりやすい例
- ブランド体験(UI/UX)を作り込みたい(導線、会員体験、セット販売、パーソナライズ等)
- 定期購入・サブスクなど、購入形態が複雑
- 配送が複雑(温度帯、同梱制御、分割発送、予約・取り寄せ など)
- 複数チャネル連携(店舗POS、倉庫、CRM/MA、広告計測など)
BtoBで刺さりやすい例
- 取引先ごとに価格・掛け率・決済条件が違う
- 見積→受注→請求など、独自フローがある
- 承認フロー、与信、電話/FAXの受注をECに寄せたい(運用統合)
「拡張前提」だと強い理由
- EC-CUBEはオープンソースで、コードをカスタマイズしやすい設計(=差別化しやすい)です。
- プラグインや外部連携を組み合わせて、“事業に合わせて育てる” ことができます。
💡考え方としては、「まず標準で始める」ではなく「運用の完成形から逆算して設計する」 と失敗が減ります。
別の選択肢が安全なケース(スピード優先・保守人材ゼロ・運用を外注したくない等)
EC-CUBEは自由度が高い一方で、自社(または委託先)が運用の責任を持つ範囲が広いのが特徴です。
そのため、次の条件が揃うなら、SaaS型カート等の方が“安全運転”になりやすいです。
別の選択肢を検討しやすい条件
- とにかく短期で公開したい(1〜2週間で立ち上げたい等)
- 保守の体制がゼロ(障害対応・アップデート・監視を担う人がいない)
- カスタマイズは不要で、
「テンプレ+標準機能+アプリ」で十分 と割り切れる - セキュリティや法対応(決済まわり等)を
“自分で背負う”ことに不安がある - ECが本業の中心ではなく、まずは 検証(テスト販売) が目的
ここで重要なのは、EC-CUBEが悪いのではなく「前提が違う」という点です。
「保守をやりたくない」なら、そもそも“保守を内包してくれるサービス”の方が、トータルの安心感が高いことが多いです。
判断を誤りやすいポイント(初期コストより“運用コスト”で差が出る)
初心者がつまずきやすいのは、「無料で始められる=安い」 という思い込みです。
EC-CUBEはたしかにダウンロードして使えますが、お金がかかるのは“運用”側です。
よくある誤解 → 現実(ズレが出る理由)
| よくある誤解 | 実際に起こりがちなこと |
|---|---|
| 「本体が無料だから低コスト」 | サーバー、保守、監視、バックアップ、セキュリティ対策で月次コストが積み上がる |
| 「カスタマイズすればするほど良い」 | 更新が難しくなり、バージョンアップ費が膨らみやすい |
| 「プラグインを入れれば解決」 | 互換性・更新停止・脆弱性対応の責任が発生する |
| 「制作が終われば完成」 | 公開後に、改善・障害・不正対策など“運用イベント”が継続する |
費用の見え方を整理(初心者向けのざっくり把握)
- ダウンロード版:ソフト自体は入手できる
→ ただしライセンスの考え方があり、ケースによっては商用ライセンス(1サイト税込264,000円)が関係します - クラウド型(ec-cube.co):料金体系がある(例:Standardプラン 月額49,800円〜84,800円、初期費用70,000円 など)
→ ただし 決済手数料は別契約 など、周辺費用も見ておく必要があります
※上記は「どちらが安い」という話ではなく、コストの発生ポイントが違うという整理です。
失敗しないための“運用コスト”チェックリスト
- 月1回以上、アップデート/脆弱性情報の確認を回せるか
- 障害時に「誰が」「何分で」一次対応するか決まっているか
- バックアップ(世代管理・復元テスト)を実施できるか
- WAFやアクセス制限など、不正対策の予算を確保できるか
- カスタマイズ方針が「更新しやすい設計」になっているか(改修ルール・レビュー体制)
最後に、判断のコツをひとつだけ。
EC-CUBE採用の是非は、「機能」ではなく「体制」で決まることが多いです。
- ✅ 体制が作れる → EC-CUBEは武器になる
- ❌ 体制が作れない → どんなECでも運用で詰む(特にセキュリティ)
EC-CUBEの基礎:仕組みと提供形態を整理する
EC-CUBEを初心者向けに言い換えると、「ネットショップを動かすための“土台(ECエンジン)”」です。
商品登録・受注管理・会員管理などの“運営に必要な機能”をまとめて持っていて、デザインや機能を自社向けに拡張できます。
この章では、まず迷いがちな
- そもそもEC-CUBEって何?
- どの提供形態を選べばいい?
- 2系/3系/4系って何が違う?
- ライセンスや運営主体は?
を、必要十分に整理します。
EC-CUBEは何者?(EC構築のための国産オープンソースという位置づけ)
EC-CUBEは、日本発のオープンソースECプラットフォームです。
「カート機能」だけではなく、運営に必要な管理機能(受注・顧客・在庫・配送・税など)を一通り備えた“ECサイト構築のベース”として使われます。
初心者の理解としては、次のイメージが近いです。
- EC-CUBE本体:ショップを動かすアプリ本体(フロント画面+管理画面)
- サーバー/DB:本体を動かす環境(Webサーバー、データベースなど)
- テーマ/テンプレート:見た目(デザイン)を作る部分
- プラグイン:機能を追加する部品
- 決済・配送など外部サービス:必要に応じて連携(別契約になることも多い)
また、EC-CUBE 4は Symfony / Doctrine をベースに開発されており、拡張の考え方がWeb開発の一般的な作法に寄せられています。
「将来的に要件が増える」「独自の業務フローを入れたい」場合に強みが出やすい、という理解でOKです。
提供形態の違い(ダウンロード版/クラウド型/大規模向けサービス)
EC-CUBEは大きく3つの“持ち方”があります。
初心者は、まずこの表で全体像を掴むのが早いです。
| 提供形態 | ざっくり一言 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ダウンロード版 | 自分のサーバーで動かす | 自由度最優先/内製や制作会社で保守できる | 運用責任が自社側に寄る |
| クラウド型(ec-cube.co) | メンテ負担を減らして使う | サーバー運用を軽くしたい/売上拡大に集中したい | 料金体系・制約の確認が必須 |
| 大規模向け(Enterprise) | 非機能まで含めて伴走 | 高負荷・高可用性・BtoB等の複雑要件 | 価格は個別見積になりやすい |
以下、それぞれ「初心者が迷うポイント」に絞って解説します。
ダウンロード版:自由度最大だが、運用責任も自社側
ダウンロード版は、自社(または委託先)がサーバーにEC-CUBEを設置して運用する方式です。
メリット
- デザインも機能も、必要なだけ作り込める
- サーバー構成・運用ルールも、事業に合わせて選べる
- “独自要件”が出たときに、柔軟に対応しやすい
初心者が見落としがちな運用タスク
- 本体・プラグインの更新(バージョンアップ)
- 脆弱性対応(影響調査、パッチ適用)
- 監視・バックアップ・障害対応
- サーバー費用(アクセス増でスケールが必要になることも)
つまり、ダウンロード版は 「自由」=「運用を回す前提」 です。
ここが整うと、EC-CUBEはかなり強い武器になります。
また、ライセンス面で重要なのが デュアルライセンス(GPL/商用)です。
「配布(頒布)する形になる/ソースコード公開が難しい」など条件によっては、商用ライセンスを検討する必要があります(価格は後述)。
クラウド型:アップデートやセキュリティ更新の考え方
クラウド型の ec-cube.co は、公式の案内では「メンテナンス負担を抑えつつ、カスタマイズもできる」方向性のクラウドECとして説明されています。
料金の要点(Standardプラン)
- 初期費用:70,000円
- 月額:49,800円〜84,800円(売上規模により段階的)
- 決済手数料:別途契約
ここで大事なのは、クラウドでも 「何が“含まれる”運用で、何が“別途”か」 を分けて考えることです。
- 含まれやすい:インフラ運用、監視、一定のセキュリティ対応(※範囲は要確認)
- 別途になりやすい:決済契約、独自カスタマイズ開発、外部連携の開発
なお、公式LP上では 新規受付が停止中 と明記があります。状況は変わり得るので、検討時は最新の案内を必ず確認してください。
大規模向け:複雑要件・高負荷前提の進め方
EC-CUBE Enterprise は、公式説明では OSSのEC-CUBEをベースに「大規模ECに必要な非機能要件(セキュリティ・性能・可用性)+業界特化機能」をパッケージ化した構築・運用サービスです。
この領域の特徴は、機能よりも“止めない・守る・伸ばす”が中心になることです。
- 想定する課題:高負荷、複数拠点運用、権限の複雑化、BtoB取引の業務要件など
- 進め方のイメージ:要件定義(業務)+非機能要件(SLA/監視/BCP等)をセットで設計
- 体制:開発だけでなく、運用設計・セキュリティ設計が最初から必要
初心者目線での結論はシンプルで、
「売上や運用規模が大きいほど、“構築=ゴール”ではなく“運用=本番”になる」 ということです。
バージョンの考え方(2系・3系・4系の位置づけと移行の注意)
EC-CUBEには「2系・3系・4系」があり、公式のダウンロード案内では次のように整理されています。
- 2系:2007年リリース(サポート期間延長中と案内)
- 3系:2016年7月リリース(サポート中と案内)
- 4系:2018年10月リリース(最新バージョンとして案内)
また、同ページでは当時点の配布状況として 4.3.1(更新日 2025/07/31) 等が表示されています。
初心者が押さえるべきポイント
- 新規構築なら基本は 4系が前提になりやすい(技術基盤・拡張性・情報量の面で)
- 2→4、3→4 の移行は、カスタマイズ状況によって “ほぼ作り直し級” になり得る
(データ移行・運用フロー再設計まで含めて計画するのが現実的) - 古いバージョンを使う場合は、公式でも 脆弱性確認と対処を強く注意喚起しているため、保守体制が必須
さらに、バージョン番号の見方として、公式は aa.bb(または aa.bb.cc) 形式を説明しています。
- aa:設計思想を含む大きな更新
- bb:機能追加を伴う更新(DBやテンプレ変更を伴うことがある)
- cc:主に不具合修正(大きな構造変更は基本なし)
つまり、同じ4系でも 「4.2→4.3」 のような更新は影響範囲が広い可能性があるため、初心者ほど「更新前に検証環境を用意する」意識が重要です。
ライセンス・開発元・コミュニティ
最後に、EC-CUBEを安心して使うための“土台情報”です。
ここはE-E-A-Tにも直結するため、記事としても押さえておく価値があります。
ライセンス(初心者向けの要点)
- EC-CUBEは デュアルライセンス方式(GPLライセンス/商用ライセンス)
- GPL:複製・改変・頒布が可能だが、条件により提供物にもGPL適用が必要になる
- 商用:GPLに準拠したくない場合などに選ぶ。有償
- 公式記載:1サイト 264,000円(税込)
- さらに、公式には GPL例外条項(プラグイン周りの扱い) についての明記もあるため、実運用では「どこをどう改変・配布するか」を前提に確認が必要
開発元(運営主体)
- EC-CUBEブランドの開発・提供等を行う会社として、公式の会社概要では
会社名、代表者、主要株主(イルグルム)などが公開されています。
企業情報を一次情報で確認できるのは、導入検討の安心材料になります。
コミュニティ・情報源の持ち方
- 4系は開発者向けドキュメントが整備されており、Issue投稿など“参加の導線”も用意されています。
- 初心者の学び方としては、次の順が安全です。
- 公式ドキュメントで全体像
- 検証環境で触る
- 小さくカスタマイズ
- 運用(更新・バックアップ・監視)まで含めて手順化
EC-CUBEは「作る」より「育てる」で価値が出るタイプなので、ライセンスと運用の前提だけは、最初に固めておくのが得策です。
EC-CUBEで実現できること:標準機能を“業務フロー”で理解する
EC-CUBEの標準機能は、ざっくり言うと「ネットショップ運営に必要な日常業務」を管理画面で回せるように揃えたものです。
初心者は、機能を“メニュー別”に覚えるより、次の流れに当てはめると理解が速いです。
- 商品を用意する(登録・カテゴリ整理・バリエーション作成)
- 売る(決済・配送・税のルールを整える)
- 注文を処理する(対応状況を更新しながら出荷まで進める)
- 顧客対応する(会員情報・問い合わせ対応・案内配信の土台)
- ページを整える(デザインと導線、必要情報の掲載)
- 守る(権限・ログ・セキュリティ設定で事故を減らす)
商品まわり(商品登録/カテゴリ・タグ/規格・バリエーション/CSV)
商品まわりは「登録しやすさ」より「探しやすさ/運用しやすさ」を先に設計すると、後から効いてきます。
1) 商品登録でできること(標準)
- 商品名・説明文・画像などの基本情報登録
- 販売価格・在庫管理(運用方針に応じて)
- 商品ごとの表示・販売設定
- 商品にタグを付与して、商品詳細ページなどに表示
初心者向けのコツ
- 商品名は“検索される呼び方”に寄せる(例:型番・容量・色などを一定ルールで)
- 画像は「1枚目=一覧で伝える」「2枚目以降=不安を消す(サイズ感、素材、同梱物)」が鉄板
2) カテゴリ・タグの使い分け
- カテゴリ:棚(陳列場所)。回遊を作る“導線の骨格”
- タグ:ラベル(特徴)。横断的に「おすすめ」「限定」などを表現
運用で迷う人は、まず次の型が安定します。
| 要素 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| カテゴリ | 探す導線(階層) | メンズ > アウター > ダウン |
| タグ | 意味づけ(横断) | 新商品、限定、ギフト対応 |
3) 規格・バリエーション(サイズ/カラーなど)
EC-CUBEでは、規格(例:サイズ・カラー)と、その中身(例:S/M/L、赤/青)を作って商品に紐づけるイメージです。
つまずきやすいポイント
- 規格名の設計が曖昧だと、後から「同じ意味の規格」が増えて管理が崩れます
→ 最初に「サイズ」「カラー」「容量」など、店内で使う規格名を固定しましょう。
4) CSVで一括登録・更新できる範囲
商品数が増えると、管理画面で1件ずつ編集するより CSV運用が効いてきます。
- 商品CSV:商品情報をまとめて登録・更新
- カテゴリCSV:カテゴリをまとめて登録・更新
- 規格CSV/規格分類CSV:規格と中身をまとめて登録・更新
おすすめの現実的運用
- 最初:管理画面で“型”を作る(入力ルール、カテゴリ構成、規格の粒度)
- 途中から:CSVで“量”をさばく(大量更新、在庫・価格改定など)
受注まわり(注文管理/ステータス運用/出荷・帳票/CSV連携)
受注管理は「処理漏れを起こさない設計」が最優先です。
EC-CUBEは、受注一覧で検索・絞り込みしながら、対応状況(ステータス)を更新して運用できます。
1) 注文管理(受注一覧)で日々やること
- 新規注文の確認
- 入金・確認・出荷準備など、対応状況の更新
- 注文内容の確認、必要に応じて連絡・調整
コツ
- 受注対応状況は「チームの作業ボード」です
→ 状況の意味(例:新規受付=未確認、対応中=出荷準備中…)を社内で統一すると混乱が減ります。
2) ステータス(対応状況)運用のポイント
- 対応状況でフィルタすると、処理対象が整理されます
- 「件数表示」のON/OFFも設定できるため、管理画面を“見える化”できます
初心者は次の順番で固めると安定します。
- 受注処理フローを紙に書く(入金確認→ピッキング→出荷→完了)
- 各工程に対応状況を割り当てる
- 例外ケース(取り寄せ、欠品、住所不備)だけ別ルールにする
3) 出荷・帳票・CSV連携(効率化の中心)
受注が増えると、伝票ソフトや外部ツール連携が必要になります。
EC-CUBEでは、受注データについて 受注CSV/出荷CSV を出力して運用できます。
- 受注CSV:売上集計や月次処理に回しやすい
- 出荷CSV:発送伝票作成など、出荷オペレーションに回しやすい
- 出荷CSV登録:出荷情報をCSVで一括登録・更新する運用も可能
さらに、CSV出力項目をカスタマイズできるため、外部ツールに合わせた“型”を作れます。
初心者が最初にやるべきこと
- どのツールに渡すか(伝票、倉庫、会計など)を先に決める
- そのツールが必要とする項目を洗い出す
- CSV出力項目設定で、必要項目に寄せる
顧客・会員まわり(会員管理/権限/顧客コミュニケーション)
顧客・会員まわりは、機能よりも「個人情報の取り扱いルール」が重要です。
1) 会員管理でできること(標準)
- 会員一覧で検索・確認
- 会員情報の登録・更新
- 必要に応じてCSV出力
運用の注意
- 会員データは個人情報です。CSVで出す運用をする場合は
- 持ち出し禁止
- 保存場所の統一(権限付きストレージ)
- 取り扱い手順の明文化
を最低限セットにするのがおすすめです。
2) 「顧客に連絡する」ための土台づくり
EC-CUBE単体で“高度なCRM/MA”までやるというより、まずは以下を整えるイメージです。
- 会員情報が正しく取れている(メール、住所、属性など)
- 注文履歴と紐づいている
- 誰が会員情報を見られるか(権限)が設計されている
コンテンツ・デザインまわり(ページ/レイアウト/ブロック/CSS/JS)
デザイン編集は、初心者が事故りやすい領域です。
EC-CUBEでは「ページ」「レイアウト」「ブロック」を使い分けて編集します。
1) ページ・レイアウト・ブロックの関係
- ページ管理:各ページの編集(テンプレートの編集)
- レイアウト管理:ページに置くブロックの配置(トップ用/下層用など)
- ブロック管理:部品(パーツ)を作成・編集して、必要な場所に置く
おすすめの考え方
- “共通で使うもの”はブロック化(例:送料無料案内、ランキング枠)
- “ページ固有”はページで編集(例:特集LP、会社情報)
2) CSS/JavaScriptの追加
管理画面からCSS・JavaScriptを登録して反映できます。
ただし、セキュリティの観点から「これらの機能を無効化できる」設計も入っています。
初心者向けの安全運用
- 変更は「小さく」「段階的に」(いきなり全面改修しない)
- できれば検証環境で試してから本番反映
- 役割分担(運営担当が触る範囲/制作担当が触る範囲)を決める
決済・配送・税(支払い方法/配送方法/税率/特商法など)
ここは「お客さんの不安を減らす」と同時に「運用トラブルを減らす」領域です。
1) 支払い方法
- 支払方法を登録し、手数料などを設定できます
- 標準では銀行振込・代引などが初期登録されている構成です(必要に応じて追加)
コツ
- まずは選択肢を増やしすぎない(問い合わせ対応が増える原因になりやすい)
- 手数料条件は“表示のわかりやすさ”を優先
2) 配送方法
- 配送方法を登録し、条件を整えます(送料テーブルなど)
- 商品側の設定(販売種別など)と組み合わせて運用を作ります
コツ
- 配送ルールは「例外」を減らすほど強い
→ 温度帯・同梱不可など例外が多い商材は、最初にルールを文章化しておくと混乱が激減します。
3) 税率設定
- EC-CUBE内で扱う消費税率を設定できます
- 税率の変更日時を予約して切り替える運用も想定されています
4) 特定商取引法などの表記
- 特定商取引法の表示に必要な情報を設定するメニューが用意されています
- 利用規約など、信頼性に関わるページ整備とセットで進めると安心です
運用管理(メンバー管理/権限/ログ/セキュリティ設定)
最後にここが“地味に一番重要”です。
売上が伸びるほど、人が増える・操作が増える・攻撃も増えるので、標準機能で守りを固めておく価値があります。
1) メンバー管理・権限管理
- 管理画面にログインするスタッフ(メンバー)を登録・編集
- 権限を作って、メンバーごとに操作可能メニューを制限
鉄則
- 最小権限にする(必要な人に、必要な範囲だけ)
- 会員情報や受注は、閲覧権限を絞るだけでも事故率が下がります
2) セキュリティ設定(標準でできること)
- 管理画面のIP制限(拒否リスト等)
- フロント画面のIP制限(許可・拒否リスト等)
- 管理画面への不正ログイン対策の導線(ログイン履歴の確認など)
3) ログ(気配を察知して、切り分けを速くする)
- ログイン履歴:成功・失敗の記録を確認できる
- ログ表示:エラーや動作状況のログを管理画面で確認できる
初心者向けの運用テンプレ
- 週1:ログイン履歴をざっと確認(失敗が急増していないか)
- 月1:アップデート・バックアップ・権限棚卸し
- 何か起きたら:ログをコピーして制作会社へ共有 → 原因特定が速くなる
拡張の中核:プラグインとテンプレートで“最短で強くする”
EC-CUBEは「標準機能で土台を作り、足りない部分をプラグインとテンプレートで補強する」設計です。
ただし、拡張は速い反面、入れ方・改修の仕方を間違えると運用コストが跳ね上がるので、ここは最初に“型”を作っておくのが近道です。
オーナーズストアの全体像(探し方・選び方・注意点)
オーナーズストアは、EC-CUBEの管理画面から プラグインを探して入手・購入し、インストールまで進められる仕組みです。
探し方の基本は次の通りです。
- カテゴリで絞る
- 有料/無料で絞る
- キーワードで検索する
- 詳細(説明・条件)を確認してから入手/購入へ
また、オーナーズストア経由のプラグインは、管理画面の「プラグイン一覧」と連携しやすく、更新情報が管理画面に出るのがメリットです。一方で、独自アップロードしたプラグインは更新通知が出ないため、保守の手間が変わります。
選定チェックリスト(対応バージョン/更新頻度/サポート窓口/レビュー)
プラグイン選びは「機能があるか」より、運用で事故らないかを先にチェックすると失敗しにくいです。以下を“購入前に”確認してください。
| チェック項目 | どこを見る | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 対応バージョン | 対象EC-CUBEバージョン表記 | 本体の利用バージョンに合致(将来の更新も想定) |
| 更新頻度・最終更新 | 更新履歴/更新日 | 放置気味だと、将来の本体アップデートで詰まりやすい |
| 提供元のサポート | 問い合わせ窓口/サポート範囲 | どこまで見てくれるか(調査のみ/改修含む等)を把握 |
| 影響範囲 | 機能説明(フロント・管理・DB等) | 受注/会員/決済に触るほど影響が大きい(テスト必須) |
| 設定・削除時の挙動 | マニュアル/注意事項 | 削除で設定やデータが消える可能性を前提に考える |
| ライセンス・利用条件 | 利用規約/注意書き | 複数サイト利用の可否、移管、再利用条件など |
| レビュー・導入事例 | レビュー/導入実績 | “どんな規模・業種で”使われているかを見る |
| 導入手順の分かりやすさ | 付属マニュアル | 設定にテンプレ追記やブロック配置が必要な場合がある |
初心者向けのコツ
- 「必須機能」以外は、まず“代替策(運用で回せるか)”を検討する
- 迷ったら、決済・受注・会員に深く関わるプラグインほど慎重に(テストコストが跳ねやすい)
入れすぎ問題:プラグイン構成は“最小”から育てる
プラグインは増えるほど便利ですが、同時にこうなりがちです。
- 競合して表示崩れ・動作不良が起きる
- アップデートのたびに確認点が増える
- 速度低下の原因が追いにくくなる
- 「何がどこを変えているか」がブラックボックス化する
おすすめは “最小構成→段階追加” の運用です。
- 目的を3段階に分ける(Must / Should / Could)
- まずMustだけ入れる(最短で稼働)
- 追加は1つずつ(追加→確認→記録)
- 更新前にはバックアップ+検証環境で事前チェック
- 代替できるものは、プラグインより「設定・ブロック・CSS」で済ませる
導入の流れ(認証キー・購入・インストール・有効化・設定)
オーナーズストア系プラグインは、基本的にこの順番です(ここを逆にすると詰まりやすいです)。
- 認証キーの準備(最初だけ)
- オーナーズストア側で会員登録
- 対象サイトURLを登録
- 認証キーを取得
- 管理画面に認証キーを登録(最初だけ)
- 管理画面の「オーナーズストア」配下にある認証キー設定で登録します
- プラグインを探す/購入する
- 管理画面からプラグイン一覧や検索画面へ移動
- 無料/有料を確認して入手・購入
- プラグインによっては、オーナーズストア側での購入が必要です
- インストールする
- プラグイン一覧に反映された対象プラグインで「インストール」を実行
- 画面の案内に沿って進めます
- 有効化する(ここを忘れがち)
- インストールしただけでは動きません
- 一覧画面で“有効化”して、初めて機能が有効になります
- 初期設定する(歯車アイコン等)
- 設定画面がある場合は、プラグインごとの設定を行います
- ブロック生成やテンプレ追記が必要なタイプもあるので、販売ページ・マニュアルを確認します
- 動作確認する(最低限の確認セット)
- フロント:該当ページ表示、カート投入、購入フロー、メール
- 管理:受注・商品管理に影響がないか
- ログ:エラーが出ていないか
補足:コマンドラインで操作できる場面もあります(制作・保守体制がある場合に便利)。
ただ、初心者はまず管理画面フローを“手順書化”しておく方が安全です。
テンプレート改修の考え方(安全な改修範囲/アップデート耐性)
テンプレート改修は「見た目を変える」だけでなく、アップデート時の衝突を避ける設計が重要です。
安全な改修範囲の基本ルール
- 本体が持つ標準テンプレート(Twig)を直接いじると、アップデートで上書きされるリスクがあります
- 推奨は、カスタマイズ用ディレクトリにコピーして上書きする方式です
- 画像・CSS・JSなどのリソースも、所定の場所に分けて配置します
“アップデート耐性”を上げるテンプレ改修の手順
初心者が失敗しにくい順に、次の段階で進めるのがおすすめです。
- 管理画面機能で済ませる(まずはここ)
- ブロック配置・レイアウト調整
- 軽微な文言変更・導線の調整
→ テンプレを触らないので壊れにくい
- Twigをピンポイントで上書きする
- 変更したいTwigだけ、カスタマイズ側にコピーして編集
- 変更量を最小にする(差分が小さいほど保守が楽)
- テーマとして整理する(中〜上級)
- テンプレートコード単位で管理し、改修を集約する
- 「どれが本番に効いているか」を明確にする
変更管理のおすすめ
- 変更履歴を残す(Git/変更ログ/チケット)
- 変更前後で確認項目を固定する(表示・速度・購入導線)
- 本番反映前に検証環境で確認する
- “どのプラグインがどこを触るか”を一覧化する(引き継ぎが楽)
デザイン変更の落とし穴(表示崩れ・速度・SEOへの影響)
テンプレやCSSを触るとき、初心者がハマりやすい罠を3つに分けておきます。
1) 表示崩れ(崩れ方はだいたいパターンがある)
- ブロック配置とCSSの依存がズレる
- 既存のクラス名を変えてしまい、他ページも連鎖して崩れる
- 端末幅(SP/PC)でのみ崩れる
✅ 対策:変更は小さく、ページ単位で確認。共通パーツは特に慎重に。
2) 速度低下(“足し算”が積み上がる)
- JS/CSSの追加で読み込みが増える
- 画像最適化が甘い(容量・形式・遅延読み込み)
- プラグイン導入でテンプレが重くなる
✅ 対策:追加する前に「本当に必要か」を精査。導入後は体感+計測で確認。
3) SEO面の事故(意図せず評価を落とす)
- 見出し構造が崩れる(hタグの乱用、見出し順の飛び)
- 重複コンテンツが増える(同じ説明が各所に散らばる)
- パンくず・内部リンクが弱くなる(回遊が落ちる)
✅ 対策:カテゴリ設計と商品導線を優先し、テンプレ改修は“導線を強くする改修”に絞る。
導入前の準備:要件・サーバー・体制を先に固める
EC-CUBE導入で失敗しやすいのは、「インストールはできたけど、その後の運用が回らない」パターンです。
そこで最初に、次の3点を“紙1枚レベル”で固めてから進むのがおすすめです。
- 要件:何を実現したいか(Must / Should / Could)
- サーバー:その要件を安全に動かせる環境
- 体制:更新・障害・セキュリティ対応を誰が担うか
動作環境の要件(PHP/DB/拡張モジュール)
EC-CUBEはバージョンごとに要件が変わります。
まずは「導入するEC-CUBEの系(例:4.3系)」を決め、その系のシステム要件に合わせて環境を用意します。
EC-CUBE 4.3系の要点(初心者向けに整理)
- Webサーバー:Apache 2.4(
mod_rewrite/mod_sslが必須) - PHP:8.1〜8.3
- DB:MySQL 8.0〜8.4(InnoDB必須)または PostgreSQL 12〜16(権限要件あり)
- SQLite:開発用途向け
「レンタルサーバーで始める」場合でも、PHPとDBのバージョンが要件に合うかは必ず確認してください。
必須のPHP拡張(ざっくり言うと“足りないと動かない”)
環境構築でつまずく原因の多くが「PHP拡張が入っていない」です。
最低限、次の考え方だけ押さえておくと迷いが減ります。
- DB系:MySQLなら
mysqli / pdo_mysql、PostgreSQLならpgsql / pdo_pgsqlのように、使うDBに合わせて必要 - 文字・圧縮・通信:
mbstringzlibcurlopensslzip - 実務で効くもの:
intl(多言語・整形などで依存しがち)
また、公式では APCu と Zend OPcache が“推奨”として挙げられています。
これは速度・安定性に効くので、可能なら最初から有効化しておくのが無難です。
インストール前に用意しておくもの(意外と忘れがち)
- 空のデータベース(MySQL or PostgreSQL)
- EC-CUBEから送信するメールの 送信元アカウント情報(SMTP等)
- EC-CUBEの最新パッケージ
推奨構成の考え方(小規模→中規模→高負荷で何が変わる?)
EC-CUBEは「規模」が上がると、主に次の3点が変わります。
- 止めないための冗長性(障害点を減らす)
- 速さのための分離(WebとDBの負荷を分ける)
- 守るための運用(監視・バックアップ・更新の仕組み化)
目安として、構成を“段階”で考えると決めやすいです。
| 規模イメージ | 構成の方向性 | ここが変わる |
|---|---|---|
| 小規模(まず開店) | 動作検証済みのレンタルサーバー/小さめVPS | まず要件を満たし、運用を単純にする |
| 中規模(売上が伸びる) | Web(PHP)とDBの性能を意識/キャッシュ導入 | OPcache/APCu、画像最適化、DB設定の見直し |
| 高負荷(セール・広告・多SKU) | WebとDBを分離、監視・バックアップの自動化 | 障害対応の即応、WAF、復旧手順、検証環境の常設 |
初心者がやりがちな失敗は、最初から高構成を目指して複雑化することです。
小さく始めて、ボトルネックが見えたら分離、が結果的に安く・速いです。
見積もりの内訳(無料=ゼロ円ではない:費用が出るポイント)
EC-CUBEは「本体を入手できる」だけ見ると無料に見えます。
ただ実際は、次のように費用が発生します。
- 作る費用(初期)
- 回し続ける費用(月次)
- 伸ばす/守る費用(追加)
初心者でもブレないように、先に“費用の棚”を作ってから見積もるのがおすすめです。
初期:構築・デザイン・カスタマイズ・テスト
初期費用は、ざっくり次の4つに分かれます。
- 構築:サーバー準備、インストール、SSL、メール設定、基本設定
- デザイン:テーマ調整、ページ構成、導線づくり(トップ・カテゴリ・商品詳細など)
- カスタマイズ:独自要件(BtoB価格、特殊配送、外部連携など)
- テスト:購入〜決済〜メール〜出荷までの通し確認、端末・ブラウザ確認
ポイントは、テストは“後で”ではなく“最初から費用枠に入れる”ことです。
ECは「売れた瞬間」に不具合が顕在化しやすいので、通しテストの価値が高いです。
月次:サーバー・監視・バックアップ・保守・障害対応
月次で効いてくるのが“運用コスト”です。ここを甘く見積もると後で詰みます。
- サーバー費(規模で増える)
- 監視(死活監視、エラー監視、リソース監視)
- バックアップ(DB・ファイル、世代管理、復元確認)
- 保守(EC-CUBE本体/プラグイン更新、脆弱性対応)
- 障害対応(一次対応、原因調査、復旧、再発防止)
初心者向けの現実的な落とし込み
- 月次作業を「誰が・いつ・何を・どこまで」やるか決める
- “できない”作業は、最初から外注やマネージドで埋める
追加:プラグイン費・決済費・セキュリティ対策費
売上が伸びるほど、追加費用が“自然に”発生します。
- プラグイン費(有料・月額型もあり)
- 決済費(決済代行の初期費・月額・手数料など)
- セキュリティ対策(WAF、脆弱性診断、ログ保全、アクセス制限)
- 外部連携(在庫・倉庫・会計・CRM等)
特にセキュリティは「入れたら終わり」ではなく、
バックアップの世代管理、遠隔地保管、復旧手順の整備まで含めて設計すると事故に強くなります。
役割分担(事業側/運用担当/開発・保守担当/制作会社)
EC-CUBE導入は、誰か1人が全部抱えると高確率で破綻します。
おすすめは、最初から“分担表”を作っておくことです(これだけで炎上率が下がります)。
| 領域 | 事業側 | 運用担当 | 開発・保守担当 | 制作会社 |
|---|---|---|---|---|
| 要件定義 | 何を売る・優先順位 | 運用フローの現実確認 | 実現可否・方式提案 | 要件整理の支援 |
| 商品・コンテンツ | 原稿・画像・規約類の用意 | 商品登録・カテゴリ設計 | CSV設計・効率化 | デザイン・撮影支援(必要時) |
| 受注・出荷 | 返品/返金の方針 | 日々の受注処理・問合せ | 連携や自動化 | 業務設計の補助 |
| インフラ | 予算・方針決定 | 監視の一次確認 | 構築・保守・更新 | 初期構築(契約次第) |
| セキュリティ | 方針承認 | 運用ルール遵守 | パッチ適用・診断対応 | 対策提案・実装 |
| 変更管理 | 優先順位決定 | 影響確認 | 実装・検証 | 反映作業 |
最低限、導入前に合意しておく3つのルール
- 更新ルール:本体・プラグイン更新を「いつ」「誰が」実施するか
- 障害ルール:止まったときの連絡順、一次対応、復旧目標(ざっくりでOK)
- 改修ルール:テンプレ改修・プラグイン追加は「検証→本番」の順にする
この3つが決まっているだけで、初心者でも運用が安定しやすくなります。
インストール手順:つまずかないための“最短ルート”
EC-CUBEのインストールは、手順自体はシンプルです。
ただし初心者が詰まりやすいのは 「方式の選択」「事前準備」「権限とDB」 の3点です。
この章では、最短で安定稼働させる流れを 方式別→準備→手順→エラー対処→確認→本番前チェック の順にまとめます。
インストール方式を選ぶ(パッケージ/Composer/Docker)
結論から言うと、迷ったら次の選び方が安全です。
| 方式 | 向いている人 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| パッケージ(サーバーへアップロード+Webインストーラ) | 本番サイトを最短で立ち上げたい | 共有レンタルサーバーでも進めやすい | 権限・ドキュメントルート設定で詰まりやすい |
| Composer(ローカル/開発向け) | 開発・検証をきれいに回したい | 依存関係管理が明確、再現性が高い | Composer環境が必要 |
| Docker(ローカル/検証向け) | PCに依存せずすぐ試したい | 環境差を減らせる、セットアップが速い | マウント方式で遅くなることがある |
初心者のおすすめ
- 本番を作る → まずは「パッケージ+Webインストーラ」が最短
- 検証/勉強用 → Dockerが速い(壊してやり直せる)
事前準備(データベース・メール・ドメイン/SSL・権限設計)
ここを整えると、インストール作業が“ほぼ作業ゲー”になります。
1) データベースの準備(必須)
EC-CUBEは MySQL or PostgreSQL の空DB が必要です。
インストール画面で入力するので、先に以下を控えておきます。
- DBホスト名(例:
localhost) - DB名
- DBユーザー名
- DBパスワード
初心者が見落としやすい点
- 共有サーバーでは「DBホスト名が
localhostではない」ことがある - PostgreSQLの場合、要件として pg_settings 参照権限が必要な旨が明記されています(環境によって権限付与が必要)
2) メールの準備(必須)
EC-CUBEは注文受付などでメール送信を行うため、送信元のメール設定が要ります。事前に以下を用意します。
- 送信元メールアドレス
- メールアカウントユーザー名
- メールアカウントパスワード
- メールサーバー情報(SMTP等)
3) ドメイン/SSL(できれば先に)
本番運用では HTTPS(SSL) が前提です。
最低限、次を決めておくと後戻りが減ります。
- 公開URL(例:
https://example.com/orhttps://example.com/shop/) - SSLをどこで終端するか(サーバー側、CDN/WAF側など)
4) 権限設計(ここが最頻出の詰まりポイント)
EC-CUBEは、動作のために いくつかのディレクトリ/ファイルにWebサーバーの書き込み権限が必要です。
ポイントは「全部を一括で777にしない」こと。公式も“ルート配下を一括変更しない”注意があります。
書き込み権限が必要になりやすい代表例(EC-CUBE 4):
- ルート直下(
.env等を生成) app/配下(プラグインやテンプレ関連)html/(CSS/JS等)var/(キャッシュ・ログ)vendor/、composer.json、composer.lock(プラグイン導入時に更新され得る)
基本手順(アップロード→インストーラ→初期設定)
ここからが“最短ルート”です。
パッケージ版(サーバーにアップロードする方法)を基準に説明します。
ステップ1:ファイルをアップロード
- EC-CUBEの配布ファイルをダウンロードし、解凍
- FTP等でサーバーにアップロード
- ファイル数が多いので、失敗する場合はディレクトリ単位で分けてアップロード
ステップ2:ブラウザでインストールウィザードへアクセス
アップロードしたURLへアクセスすると、自動でインストーラが起動します。
赤いエラーがなければ「次へ進む」で進行します。
ステップ3:パーミッション(権限)チェック
ここでエラーが出る場合は、該当ディレクトリ/ファイルの権限を見直します(次の章で典型原因をまとめます)。
ステップ4:サイト設定&メール設定
ここが地味に重要です。
- 店舗名などの基本情報
- メール設定(準備したSMTP等)
- 管理画面のログイン情報
- 管理画面のディレクトリ名
- SSL利用の設定
特に 管理画面のログインID/パスワード/ディレクトリ名/SSL関連は後から変更が難しい と公式でも注意があるため、ここは必ずメモしておきます。
ステップ5:データベース設定
準備したDB情報(ホスト/DB名/ユーザー/パスワード)を入力します。
ステップ6:データベース初期化
通常は初期化を行い、初期データを登録して進めます。
(既存DBを流用するなど特殊ケース以外は、初期化を素直に実施するのが安全です)
ステップ7:インストール完了→管理画面ログイン
完了画面が出たら、管理画面へログインできるか確認します。
もしログインできない場合、公式では .env を削除してDBを空にし、再インストールする案内があります。
権限チェックで詰まるときの確認ポイント
権限エラーは「EC-CUBEの問題」ではなく、多くが サーバーのユーザー/グループ構成が原因です。
よくあるパターン:
- FTPユーザー(アップロードした人)とWebサーバー実行ユーザーが別
→ Webサーバー側に書き込み権限がなくて詰まる - ルート配下を一括変更して、逆に読めなくした
→ 公式も“一括権限変更しない”旨を注意しています
チェックの順番(初心者向け):
- 権限エラーになっている“対象パス”をまず特定(画面の表示どおり)
- そのパスが「書き込み必要な場所」か確認
- Webサーバー実行ユーザーに書き込みが通るよう調整
- 直ったら、必要最小限の範囲で止める(広げすぎない)
DB接続エラーの典型パターン
インストール時のDBエラーは、原因がほぼ決まっています。
入力ミス系(最頻出)
- ホスト名、DB名、ユーザー名、パスワードのいずれかが違う
共有サーバー特有
- DBホストが
localhostではない(サーバー会社の指定値がある) - 接続ポートが指定されている(例:
3306以外)
権限不足
- ユーザーにDB作成/参照/更新権限が足りない
- PostgreSQLで
pg_settings参照権限が満たせていない(要件として明記)
ネットワーク/構成
- EC-CUBEを置くサーバーから、DBサーバーへ到達できない(分離構成時など)
困ったら、まず「DBの4点(ホスト/DB名/ユーザー/パス)」をコピペ元から再確認するのが最短です。
初期導入後チェック(管理画面・メール送信・決済・配送・ログ)
インストールできた直後にやるべき確認を、“壊れたら困る順”に並べます。
1) 管理画面にログインできるか
- ID/パスワードでログイン
- 管理画面URL(ディレクトリ名)にアクセスできる
2) メール送信(最重要)
- テスト注文(またはメール送信テスト)で送れるか
- 迷惑メール判定される場合は、送信元ドメインの設定(SPF/DKIM等)も検討
3) 決済・配送(“売れた瞬間”に止まると致命傷)
- 決済方法が有効になっているか
- 配送方法・送料設定が想定どおりか
- 税率・端数処理が要件どおりか(後からの修正が面倒になりやすい)
4) ログの確認(不具合の早期発見)
- エラーが出ていないか(インストール直後の警告が残っていないか)
- キャッシュ/ログが正常に作成されているか(権限不足の検知にもなる)
本番公開前の最終チェック(速度・セキュリティ・バックアップ)
最後に「開店前チェックリスト」を置いておきます。
ここを飛ばすと、後から“運用事故”として返ってきがちです。
速度
- 画像が重すぎないか(商品画像の容量)
- キャッシュが効いているか(OPcache等の活用は推奨)
- 体感が遅い場合、原因が「画像」「プラグイン」「DB」どれか切り分け
セキュリティ
- 管理画面ディレクトリ名が推測されにくいか
- 管理画面をIP制限できるなら実施(可能な環境の場合)
- 本体・プラグインの更新方針(いつ誰が)を決めているか
- 不要なテストアカウント/テスト商品が残っていないか
バックアップ
- DB+ファイルのバックアップが取れているか
- 復元できるか(ここまでやると強い)
- 保管場所(サーバー外・世代管理)を決めたか
運用設計:日々の業務が回る“管理画面運用”の作り方
EC-CUBEは「作って終わり」ではなく、管理画面で毎日回る運用を前提に設計すると失敗しにくいです。
初心者が最初にやるべきことは、機能を覚えるより “業務の型”を決めることです。
- 誰が(担当・権限)
- いつ(締め時間・出荷カット)
- どの順で(受注→出荷→問い合わせ→返品/返金)
- 何を見て判断するか(受注対応状況・ログ・指標)
運用フローの型(受注→出荷→問い合わせ→返品/返金)
まずは「日次で回す」ための最小構成を作ります。おすすめは、1枚の運用シートに落とし込むことです。
1) 受注:毎日“処理漏れゼロ”にする
毎日やること(最小)
- 新規注文を確認し、対応状況を更新
- 決済確認(入金待ちがある場合)
- 出荷対象を確定(当日出荷・翌日出荷を切り分け)
ポイント
- 管理画面の「受注対応状況」は、チームの作業ボードです。
表示文言や件数表示を運用に合わせて調整できるため、社内の言葉に寄せるとミスが減ります。
2) 出荷:出荷作業を“分業しやすい形”に整える
出荷前に固めるルール例
- 出荷カットオフ(例:平日14時まで当日出荷)
- 例外処理(取り寄せ・欠品・住所不備・同梱不可)
- 伝票作成のやり方(手書き/外部ソフト/CSV連携)
現実的な運用の型
- 少量:管理画面で個別処理+手作業でもOK
- 増えてきたら:受注CSV/出荷CSVで一括処理へ移行
(「毎日の作業が増えるほど、CSV運用の価値が上がる」イメージです)
3) 問い合わせ:テンプレ化でスピードと品質を両立
問い合わせ対応は、個人の頑張りに頼ると属人化します。
初心者向けには、次の3つだけテンプレ化すると一気に安定します。
- 配送系(いつ届く?追跡は?住所変更は?)
- 注文系(変更・キャンセルは?領収書は?)
- 返品・返金系(条件・手順・期限)
コツ:テンプレは“丁寧な長文”より、判断に必要な項目が漏れない短文のほうが強いです。
4) 返品/返金:揉めないために“先に条件を固定”
返品・返金は、最初に条件と証跡を決めておくとトラブルが減ります。
最低限決めておく項目
- 受付期限(到着後◯日以内)
- 対象外条件(開封済み、食品、受注生産品など)
- 返送方法(送料負担、返送先)
- 返金方法(決済方法に応じた処理)
運用フロー例
- 申請受付(理由・写真・注文番号)
- 返送案内(期限・送り先・注意)
- 到着確認(状態・同梱物)
- 返金処理(決済手段に応じて)
- 完了連絡(証跡を残す)
権限と監査(誰が何を触れるか/ログの見方)
「売上が伸びるほど、操作する人が増え、事故が増える」ため、権限設計は早めが得です。
1) 最小権限で運用する(初心者でもできる設計)
管理画面のメンバー(スタッフ)を登録し、権限設定で操作範囲を制御できます。
おすすめは、役割で分けることです。
| 役割 | 触ってよい範囲(例) | 触らない範囲(例) |
|---|---|---|
| 受注担当 | 受注一覧、出荷関連、問い合わせ対応 | システム設定、権限設定、プラグイン |
| 商品担当 | 商品登録、カテゴリ・タグ、在庫/価格更新 | 受注の取消、決済関連 |
| 管理者 | 全体(緊急対応・設定変更) | なし(ただし変更ルールは守る) |
| 外部パートナー | 契約範囲に限定(保守/改修) | 個人情報の閲覧を最小化 |
ルールを1つだけ決めるなら、これが効果大です。
- 変更(設定・プラグイン・テンプレ)は、原則「管理者のみ」
2) 監査の基本:まずはログイン履歴を見る
ログイン履歴では、管理画面へのログイン試行(成功/失敗)を確認できます。
初心者でも、次の見方だけ覚えておけば十分役に立ちます。
- 失敗が急増していないか(攻撃やパスワードリストの兆候)
- 深夜帯に不自然な成功がないか
- 普段使わないIDでの試行がないか
もし怪しい動きがあれば、まずは管理画面のアクセス制限(IP制限など)を検討し、パスワードの変更・権限見直しを行います。
定期メンテ(アップデート・バックアップ・脆弱性チェック)
「定期メンテ」は、手順を固定して“儀式化”すると続きます。
おすすめの頻度は以下です(無理なく回せる現実ライン)。
- 毎日:受注・メール・エラーのざっくり確認
- 週1:ログイン履歴の確認、在庫/価格の不整合チェック
- 月1:バックアップ復元テスト(最低でも四半期に1回)、アップデート計画、脆弱性チェック
メンテの3本柱を“別物”として扱う
- アップデート:機能改善・不具合修正・セキュリティ修正を取り込む
- バックアップ:事故が起きても戻せる状態を作る(最重要)
- 脆弱性チェック:既知の問題に当たっていないか確認する
特にECサイトは「止まる」「漏れる」が致命傷なので、バックアップは最優先です。
アップデート前にやること(検証環境・影響範囲・ロールバック)
アップデートは、やる前に勝負が決まります。
初心者向けの“最短で安全”な準備手順をまとめます。
1) 検証環境を用意する(最重要)
- 本番と同じバージョン・同じプラグイン構成でコピー
- 決済はテストモードやダミーで検証できる状態にする
- 「購入完了まで」が通るかを、最初に確認
検証がないアップデートは、ほぼ本番ギャンブルになります。
2) 影響範囲を洗い出す(見る順番が大事)
影響が出やすい順に確認します。
- 決済・購入導線(カート〜購入完了)
- 受注処理(受注一覧・ステータス更新)
- メール(注文受付・発送通知)
- テンプレ(商品詳細・カテゴリ・LP)
- CSV(受注CSV/出荷CSVの出力)
3) ロールバック(戻す手段)を先に決める
「失敗したらどう戻すか」を先に決めると、心理的にも運用的にも安全です。
- ファイルのバックアップ(EC-CUBEのディレクトリ一式)
- DBのバックアップ(必ず)
- 復元手順(誰が、何分で、どこまで戻すか)
4) 実施の段取り(典型的な流れ)
- バックアップ
- メンテナンスモード(必要に応じて)
- 本体ファイル差し替え・依存関係更新(Composer関連)
- DB更新(マイグレーション等)
- キャッシュ・生成物の更新
- メンテ解除
- 動作確認
なお、4系では「アップデートプラグイン」を利用する更新方法も案内されています。
保守体制に応じて、手作業で更新するか、プラグインで更新するかを選ぶとよいです。
アップデート後に見るべき指標(売上・CV・エラー・速度)
更新後は「見た目が動く」だけでは不十分です。
売上と不具合は、意外と静かに落ちます。 なので、確認項目を固定しましょう。
1) 売上・CV(最優先)
- 注文数(更新前の同曜日と比較)
- CV(購入完了)までの到達率
- 体感として「カートに入るのに、買えない」状態がないか
- 決済別の失敗率(特定の支払い方法だけ落ちていないか)
2) エラー(気づいたときには遅い)
- 管理画面のログ表示やサーバーログで、500系エラーが増えていないか
- 注文メールが送れているか(メールは“売上の通知”でもある)
3) 速度(SEOとCVの両方に効く)
- トップ/カテゴリ/商品詳細の表示速度
- 画像が重くなっていないか
- キャッシュが効いているか(OPcache等)
コツ:速度は「数字」も大切ですが、まずは体感で“遅い場所”を特定してから、原因を切り分けると最短です。
セキュリティ:ECで最優先に守るべきポイント
ECサイトは「攻撃を受ける前提」で設計すると、結果的にコストも事故も減ります。
EC-CUBEで特に優先したいのは、次の3つです。
- 管理画面の乗っ取り防止(不正ログイン・権限乱用を止める)
- 機微情報の流出防止(会員情報・受注情報・配送先・決済まわり)
- 改ざん・停止の防止と復旧力(WAF・ログ監視・バックアップ&復元)
まずは「全部完璧」より、最小セキュリティ基準(MVP)を固めましょう。
| レベル | 目標 | 具体策(例) |
|---|---|---|
| 最小(まず守る) | 乗っ取り・情報流出の典型を潰す | 管理画面のIP制限、SSL強制、強いID/パス、ログイン履歴の定期確認、.envやvar/vendorの公開防止 |
| 標準(運用で回す) | “見える化”して継続する | セキュリティチェックプラグイン、WAF、バックアップ世代管理、更新手順の固定 |
| 強化(事故らない) | 攻撃・障害に耐える | 2段階認証、アカウントロック、変更レビュー、復元リハーサル、監視の自動化 |
EC-CUBEのセキュリティ情報の追い方(脆弱性・チェックシート)
初心者でも「追い方」さえ決めれば、セキュリティは一気に安定します。おすすめはこの3点セットです。
1) 脆弱性情報は“公式の一覧”を起点にする
EC-CUBEは、発見された脆弱性情報を公開する方針を明確にしています。
まずは 脆弱性リストを“基準のページ”としてブックマークし、自分の利用バージョンが対象かを確認します。
- 自分のEC-CUBEバージョンが「対象」に入っている
- 危険度(高/中/低)と、案内される対応(更新版など)を確認
- 対応が必要なら、更新計画に入れる(今すぐ/次回メンテ)
2) セキュリティ対策の“手順書”としてチェックリストを使う
EC-CUBEには、運用環境向けのセキュリティチェックリスト(Excel)が用意されており、過去に更新も行われています。
これを「社内のセキュリティ作業台帳」にすると、属人化しません。
- 初回:全項目を実施して“基準状態”を作る
- 月次:重要項目だけ再確認(チェック欄を更新)
- 変更時:構成変更・プラグイン追加・移行時に再チェック
3) 自動チェックは“プラグイン”で省力化する
公式の セキュリティチェックプラグインは、チェックリストの「対応必須項目」を中心に環境チェックを自動化できます。
ただし万能ではなく、旧バージョンの脆弱性や、カスタマイズ/プラグイン由来の脆弱性は検出できないため、脆弱性リスト確認とセット運用が安全です。
初心者向けの運用ルーチン(例)
- 週1:ログイン履歴を見る(怪しいIPがないか)
- 月1:セキュリティチェックプラグインを実行+チェックリスト更新
- 随時:脆弱性リストに更新が出ていないか確認(特に“高”が出たら優先)
管理画面の防御(アクセス制限・二段階・権限・ログイン対策)
ここが最重要です。管理画面を取られると「受注改ざん」「個人情報閲覧」「不正プラグイン導入」など、被害が連鎖します。
管理画面の防御は“4層”で考える
- 入口を絞る(アクセス制限)
- 突破されにくくする(認証強化)
- 被害を小さくする(権限分離)
- 気づけるようにする(ログ・監視)
1) アクセス制限:IP制限を第一候補にする
EC-CUBE 4系には、管理画面/フロント画面のIP制限(許可・拒否)や、SSL強制などを管理画面から設定できる機能があります。
管理画面へアクセスするIPが固定できるなら、許可リスト方式が強力です。
- 社内の固定IP、VPN出口IPだけ許可
- 不正ログインが来たIPは拒否リストへ
- 管理画面は常時SSL(HTTPS)を強制
2) 二段階・ロック:守りを“パスワード頼み”にしない
可能なら、2段階認証やアカウントロックを導入し、突破の難度を上げます。
「固定IPが難しい」「外注や在宅でIPが揺れる」ケースほど効果が出ます。
- 2段階認証(ワンタイムコード等)
- 一定回数失敗でロック(総当たり/リスト攻撃に効く)
3) 権限:最小権限にして“万一”の被害を抑える
管理画面のユーザーは、役割で分けるのが基本です。
- 受注担当:受注処理に必要な範囲だけ
- 商品担当:商品/カテゴリに必要な範囲だけ
- 管理者:設定・権限・プラグインは原則管理者のみ
「設定変更は管理者だけ」というルールは、初心者でもすぐ効きます。
4) ログイン対策:ログイン履歴で“攻撃の兆候”を掴む
EC-CUBE 4系にはログイン履歴があり、成功/失敗が確認できます。
見るべきポイントはシンプルです。
- 失敗が急増していないか(botの兆候)
- 普段使わないIDで試行されていないか
- 深夜帯など不自然な時間の成功がないか
怪しい兆候があれば、まず IP制限の強化とパスワード変更、必要なら拒否リスト登録が現実的な初動です。
環境側の防御(WAF/Cloudflare・サーバー設定・バックアップ)
アプリ(EC-CUBE)だけ守っても不十分で、インフラ側で“被害を受けにくくする”のが効率的です。
1) WAF/CDNを前段に置く(可能なら)
WAFは、典型的な攻撃パターンを入口で弾くのに強いです。
- クレジットマスター等の不正アクセスが疑われる場合は、フロントのIP制限(拒否)と合わせる
- レート制限(短時間の大量アクセス)を入れる
- 国・地域での制限が必要なら段階的に(誤ブロックに注意)
※「Cloudflareにするべき」など固定解はなく、現状の構成に合う前段防御を選ぶのがコツです。
2) サーバー設定で“公開しない”を徹底する
セキュリティチェックプラグインの観点にもある通り、次のようなものがWebから見える状態は危険です。
.envが公開されているvar/やvendor/が公開されているcodeceptionが公開されている- デバッグモードが有効になっている
初心者はここを「定期点検の固定項目」にするだけで、事故率が下がります。
3) バックアップは“取る”だけでなく“戻す”まで
ECの最悪は「止まった」「漏れた」ですが、現実に多いのは「更新で壊れた」「サーバー障害で戻せない」です。
バックアップは次の3点をセットで考えると強いです。
- DB + ファイルを両方取る(片方だけだと復旧できないケースがある)
- 世代管理(直近だけでなく、数日前・数週間前も残す)
- 復元テスト(四半期に1回でもやると“戻れる確信”が持てる)
カスタマイズ時の注意(安全な実装・依存関係・レビュー体制)
EC-CUBEは拡張しやすい反面、カスタマイズでセキュリティが落ちるケースもあります。
守るべき考え方は「EC-CUBE本体の安全設計を壊さない」です。
安全な実装の基本(初心者向けの実務ルール)
- 入力は必ず検証(形式・長さ・許容値)し、想定外を弾く
- 表示は原則エスケープ(“そのまま出す”を増やさない)
- 権限チェックを入れる(管理者だけが触れる操作は必ず制限)
- 機微情報はログに残しすぎない(個人情報の扱いに注意)
依存関係の管理(更新できる設計にする)
- 依存ライブラリやプラグインは、更新が止まると脆弱性が残る
- 「この機能はどのプラグイン/改修で実現しているか」を一覧化する
- 変更は小さく、レビューしやすい単位で積む
レビュー体制(外注でも必須)
- 変更前後で「購入導線」「管理画面」「メール」「ログ」を確認する
- 本番前に検証環境でテストする(“本番で確認”は避ける)
- 重大な変更はロールバック手順を用意してから当てる
プラグインの安全性チェック(供給元・更新・サポートの見極め)
プラグインは便利ですが、安全性の差が出やすい領域です。導入前に、このチェックだけは通すのがおすすめです。
導入前チェックリスト(実務で効く順)
- 対応バージョンが一致(自分のEC-CUBE系に対応しているか)
- 更新が継続されている(最終更新が極端に古くないか)
- サポート窓口/対応範囲が明確(障害時の責任分界が分かるか)
- 影響範囲が大きすぎない(決済・会員・受注に触るほど慎重に)
- 制限事項が理解できる(LB/プロキシ配下で検出しづらい等の注意がある場合)
セキュリティ系プラグインは“目的別に”使う
- 環境の基本チェック(.env公開やデバッグ等)→ セキュリティチェック系
- 管理画面の防御(拒否IPやログイン監視)→ 管理画面セキュリティ系
- 2段階認証・アカウントロック → 認証強化系
「入れれば安心」ではなく、自分の運用の穴を埋めるために入れるのが正解です。
SEO・集客:EC-CUBEで“売れる流入”を作る設計
ECサイトのSEOは「検索順位を上げる」だけでは完走しません。
本当に効く設計は、検索 → 来訪 → 比較検討 → 購入 → 再購入(LTV)までが一本の線でつながっています。
この章では、EC-CUBEで実装しやすい順に
- テクニカル(土台)
- 商品ページ(主戦場)
- カテゴリ導線(回遊)
- 改善サイクル(伸ばす)
の流れで整理します。
テクニカルSEO(表示速度・重複対策・URL設計・内部リンク)
1) 表示速度は「画像」と「キャッシュ」から始める
初心者が最短で効果を出しやすいのは、次の2つです。
- 画像最適化:WebP化/適切なサイズで出す(特に一覧・カテゴリ)
- キャッシュ:PHP側キャッシュ(OPcache等)+アプリ/テンプレのキャッシュ設計
速度改善はSEOだけでなく、CV(購入率)にも直撃します。
“速い=売れやすい”ので、最優先に置く価値があります。
チェックの順番(迷ったらこれ)
- ファーストビューが重い要因(巨大画像・スライダー・外部タグ)を削る
- 画像形式(WebP)と容量を見直す
- キャッシュを効かせる(サーバー設定・必要ならプラグイン)
- それでも遅いなら、DB負荷・プラグイン過多・テンプレ改修を疑う
2) 重複対策は「パラメータ」と「似た商品」を整理する
ECサイトは、放っておくと同じ内容のURLが増えがちです(=評価が分散します)。
よくある重複の原因
- 並び替え・絞り込み・ページネーションなどでURLにパラメータが付く
- 「似た商品(色違い・容量違い)」で説明文がほぼ同じ
- 自社の内部検索結果がインデックスされる
基本方針
- “評価を集めたいURL”を決めて、そこに寄せる
- 代表URL(正規URL)に寄せる設計(canonicalの考え方)
- 検索流入に不要なページは、indexさせない(noindexの考え方)
※EC-CUBEではメタ設定(title/description/robotsなど)を管理画面から調整できる範囲があるので、まずはそこを“運用で回せる形”に整えるのが現実的です。
3) URL設計は「カテゴリ」と「特集ページ」で“狙い”を分ける
SEOに強いURL設計は、見た目よりも 役割の分離が重要です。
- カテゴリURL:商品を並べる(比較検討・一覧ニーズ)
- 特集ページURL:検索意図を満たす(用途・悩み・季節・ギフト等)
- 商品URL:購入の背中を押す(納得材料・不安解消)
EC-CUBEはページ(コンテンツ)を追加・編集できるので、
「カテゴリに文章を無理に詰める」より 特集ページを作って内部リンクで繋ぐほうが、運用が楽で成果も出やすいです。
4) 内部リンクは「売れる導線」を最短距離にする
内部リンクは、PVを増やすためではなく 購入までの迷いを減らすために設計します。
おすすめの“3点セット”
- カテゴリ → 特集ページ(用途/比較)へのリンク
- 特集ページ → 商品(おすすめ・根拠つき)へのリンク
- 商品 → 関連商品/上位互換/消耗品(回遊と客単価)へのリンク
内部リンクの置き方のコツ
- 目的を1つに絞る(「比較したい」「選びたい」「買いたい」のどれか)
- 目線の流れに合わせる(上:判断材料/中:比較/下:購入)
商品ページの最適化(構造化・レビュー・FAQ・比較表の作り方)
商品ページは、SEOでもCVでも中心です。
強い商品ページは、次の4つを揃えています。
- 結論:誰に向く商品かが一瞬で分かる
- 根拠:スペック・実測・注意点がある
- 不安解消:配送・返品・保証・互換性などが明確
- 比較:迷いを終わらせる選び方がある
1) 構造化データは「まずProduct」「次にReview/FAQ」
リッチリザルト(検索結果で目立つ表示)を狙うなら、実装の優先順位はこうです。
- Product(商品名・価格・在庫・画像など)
- Review(レビュー評価:可能なら)
- FAQ(よくある質問:ページにFAQがある場合)
EC-CUBEではテンプレートで出力を調整できるため、
「商品ページに必要な情報を揃える → JSON-LDで出す」をセットで考えるのが自然です。
2) レビューは“数”より“質”と“ガイドライン”
レビューは強いですが、運用が雑だと逆効果にもなります(信頼低下・炎上)。
初心者向けの最適解は 集め方と見せ方をルール化することです。
集め方(例)
- 購入後◯日でレビュー依頼メール
- 低評価も公開する(ただし誹謗中傷・個人情報は除外)
- 返品理由・初期不良などはサポートへ誘導
見せ方(例)
- 「良い点」「気になる点」を分けて読めるUI
- 写真付きレビューを目立たせる(あるなら)
- サイズ感や使用目的など、“判断材料”になる項目を促す
3) FAQは“問い合わせ削減”と“SEO”を同時に満たす
商品ページのFAQは、検索にも運用にも効きます。
質問は、問い合わせで多い順に並べるだけで効果が出ます。
FAQの型(そのまま使えるテンプレ)
- いつ届きますか?(地域別・締め時間)
- 返品・交換できますか?(条件・手順)
- 互換性はありますか?(型番・サイズ)
- 保証はありますか?(期間・対象外)
- 領収書は出せますか?(発行方法)
4) 比較表は“迷いの種類”に合わせて2種類作る
比較表は、1つで全部を解決しようとすると読まれません。
おすすめはこの2タイプです。
A. 選び方比較(用途別):迷っている人向け
| 用途 | おすすめタイプ | 理由 |
|---|---|---|
| 初めて | 標準モデル | 失敗が少ない |
| こだわり | 上位モデル | 体験差が出る |
| コスパ | エントリーモデル | 予算を守れる |
B. 仕様比較(スペック):もう買う寸前の人向け
| 項目 | 本商品 | 他モデル | チェックポイント |
|---|---|---|---|
| サイズ | 置き場所に入るか | ||
| 重量 | 持ち運び頻度 | ||
| 対応範囲 | 互換性 |
“用途→おすすめ→理由”の流れがあると、比較が購入につながりやすいです。
カテゴリ設計(検索意図別の導線:比較/用途/悩み解決)
カテゴリは「商品を並べる棚」ではなく、検索意図の受け皿です。
強いカテゴリ設計は、最初に意図を3つに分けます。
1) 比較系(迷っている人)
例:
- 「おすすめ」「人気」「ランキング」「比較」「どれがいい」
作り方
- カテゴリ一覧 → “比較特集ページ”へ誘導
- 特集ページで、上位商品を「用途別」で提案
- そこから商品詳細へ
2) 用途系(目的が決まっている人)
例:
- 「業務用」「小型」「ギフト」「◯◯向け」「◯◯に使う」
作り方
- 用途ごとの特集ページを作り、カテゴリに紐づける
- “判断基準”を先に提示し、商品を選べるようにする
3) 悩み解決系(不安を解消したい人)
例:
- 「失敗」「選び方」「サイズ」「互換性」「注意点」「デメリット」
作り方
- 悩み別にQ&A型の特集ページを用意
- 商品ページのFAQへ内部リンク
- 返品・保証・配送ルールも見つけやすくする(信頼)
運用で伸ばす(改善サイクル:検索→CV→LTV)
SEOは“公開した瞬間”がスタートです。
伸びるECは、改善対象を 検索・ページ・購入・再購入に分けて回します。
1) 検索(Search):狙いと現実のズレを潰す
- 表示はあるのにクリックされない → タイトル/説明文の改善
- クリックはあるのに順位が上がらない → 内容の不足(比較・FAQ・根拠)
- そもそも表示がない → 特集ページの不足(検索意図の受け皿がない)
2) 購入(CV):買えない理由を消す
CVが落ちる典型はこのあたりです。
- 送料・納期が分かりにくい
- 返品条件が見つからない
- 決済手段が少ない / 信頼感が弱い
- 比較材料がない(迷いが終わらない)
改善のコツは、「不安→根拠→行動」の順に配置することです。
3) 継続(LTV):SEOだけで終わらせない
LTVが上がると、広告に頼らず強くなります。
- 会員向け特典(ポイント・限定クーポン)
- 使い方コンテンツ(購入後に役立つページ)
- メール/LINEでの再入荷・関連商品案内
- 消耗品・付属品・上位モデルへの導線
最小で効く設計
- 「使い方」「よくあるトラブル」「交換の目安」ページを作り、商品からリンクする
→ 問い合わせも減り、再購入も増えやすくなります。
外部連携・拡張開発:どこまで“作り込む”かの線引き
EC-CUBEは拡張しやすい反面、作り込みを増やすほど「開発費」より 運用費(保守・更新・障害対応) が効いてきます。
初心者が迷いにくい考え方は次のとおりです。
- まず 売上に直結する連携(在庫・配送・決済まわり)を優先
- 次に 業務効率を上げる連携(会計・顧客対応・MA)
- 最後に 成長に備える設計(高負荷・監視・運用自動化)
よくある連携(在庫/基幹・CRM・MA・配送・会計)
外部連携は「何と何を同期するか」を最初に決めると失敗しにくいです。
よくある連携を、データの流れで整理します。
在庫/基幹(ERP・倉庫管理・POS)
目的
- 欠品・過剰在庫を減らす
- 出荷のスピードと精度を上げる
- 店舗とECの在庫を一本化する
よく同期するデータ
- 商品マスタ(SKU、規格、JAN、原価など)
- 在庫数(可用在庫、引当、入荷予定)
- 受注(注文内容、配送情報、ステータス)
- 出荷実績(伝票番号、出荷日)
初心者向けの現実的な始め方
- まずは 在庫の一方向同期(基幹→EC) から
→ 双方向にすると衝突(上書き)が起きやすい - 受注は CSV連携 で回し、安定したらAPI化
CRM(顧客管理)・MA(メール/LINE・ステップ配信)
目的
- リピート率を上げる(LTV改善)
- 問い合わせ削減(自動案内)
- セグメント配信(購入履歴・カテゴリ別)
よく使うデータ
- 会員情報(属性、同意状態)
- 購入履歴(RFM、購入カテゴリ、平均単価)
- 行動データ(閲覧、カゴ落ち)※別計測基盤が必要なことも
つまずきポイント
- 連携前に「配信同意」「配信停止」「データ保持期限」などの運用ルールを固めないと、後から整合が取れなくなります。
配送(伝票発行・倉庫・追跡)
目的
- 出荷作業の省力化
- 誤出荷・送り先ミスを減らす
- 追跡番号の自動反映
よくある方式
- 受注/出荷CSVで「伝票ソフト」へ渡す
- 倉庫/WMSへAPI連携して、出荷確定→追跡番号を戻す
成功のコツ
- “例外”を先に決める
(同梱不可、温度帯、住所不備、ギフト、取り寄せ など)
会計(freee / マネーフォワード / 弥生 など)
目的
- 売上計上・手数料・返品/返金の処理を楽にする
- 月次締めを早くする
最低限そろえるべきデータ
- 注文ID、注文日、売上、送料、手数料、税区分
- 決済方法、入金ステータス
- 返品・返金(マイナス計上の根拠)
おすすめの始め方
- いきなり自動仕訳まで突っ込まず、まずは 月次集計が崩れないCSV を作る
→ “数字が合う”状態が最優先です
プラグインで足す vs 個別開発(判断基準とリスク)
結論:「要件の重要度」と「変更頻度」で決めるのが一番ブレません。
判断の軸(迷ったらこの表)
| 観点 | プラグイン向き | 個別開発向き |
|---|---|---|
| 要件の独自性 | どの店でも使う定番機能 | 自社の業務フローが特殊 |
| 変更頻度 | ほぼ変わらない | 改善・ABテストで頻繁に変える |
| 影響範囲 | 影響が限定的(表示、軽い機能追加) | 受注・決済・会員など中核に触る |
| 運用体制 | 保守が薄い(内製なし) | 内製 or 継続保守の契約がある |
| コスト構造 | 初期を抑えたい | TCO(総コスト)最適化したい |
プラグインのリスク(初心者が見落としがち)
- 更新停止:本体アップデートに追従できず詰む
- 競合:他プラグインやテンプレ改修とぶつかる
- ブラックボックス化:不具合の切り分けが難しい
- セキュリティ責任:プラグイン由来の脆弱性は自分のサイトのリスクになる
プラグインで進めるなら、最低限これだけは守るのが安全です。
- 対応バージョンが明確
- 更新履歴が追える
- サポート窓口がある
- 検証環境でテストしてから本番へ
- “入れた理由”をドキュメント化(何のため、どこに影響)
個別開発のリスク(作るほど増える“運用負担”)
- 本体更新時に 差分吸収コスト が発生する
- 引き継ぎが難しい(属人化)
- 仕様が曖昧だと “作り直し” が起きる
個別開発を選ぶなら、最初に「運用で守れる形」に寄せるのがコツです。
- 仕様は「業務フロー」から書く(画面機能から書かない)
- 変更が多い部分は、設定値・管理画面で調整できる形に
- テスト(購入導線・受注・メール・CSV)を固定化
- ロールバック手順を用意する
高負荷・大規模対応の考え方(キャッシュ・DB・運用監視)
「高負荷対応」は、最初から巨大構成にするのではなく、ボトルネックが出る順に潰すのが最短です。
ECで詰まりやすい順番はだいたいこうです。
- 画像・静的ファイル(表示が遅い)
- テンプレ/プラグイン(処理が重い)
- DB(検索・一覧・集計が遅い)
- バッチ処理(CSV、メール、在庫同期)
- 障害対応(気づけない/戻せない)
キャッシュ:まずは“簡単に効くところ”から
- PHPのOPcache:体感が改善しやすい
- アプリ側キャッシュ:一覧ページなどで効く
- CDN(画像・CSS/JS):ネットワーク負荷を減らせる
初心者の合言葉は 「動的にしないで済むものは静的に」 です。
特に画像は、容量と形式だけで大きく変わります。
DB:伸びると必ずここが効く
DBで効くのは、派手な最適化より運用の基本です。
- インデックス設計(検索・絞り込みで使う列)
- 重いクエリの特定(APMやログ)
- “一覧に出す情報”を増やしすぎない(結合が増える)
- バッチ処理の時間帯をずらす(ピークと被せない)
規模が上がったら、次の選択肢も出てきます。
- DBサーバーの分離(Webと同居しない)
- 読み取り負荷の分散(構成によってはレプリカ)
- 商品検索を外部検索基盤へ(件数が多い場合)
運用監視:大規模化の本質は“検知と復旧”
高負荷対策で最後に効くのが、監視と復旧設計です。
「落ちない」より「落ちてもすぐ戻る」を先に作ると強いです。
最低限の監視(これだけでも効果大)
- 死活監視(サイトが見えるか)
- エラー監視(500増加、決済失敗増加)
- リソース監視(CPU、メモリ、DB接続数、ディスク)
- 重要導線監視(カート投入→購入完了のチェック)
バックアップの強さ
- DB + ファイル
- 世代管理
- 復元テスト(やって初めて“戻れる”)
どこまで作り込むかの線引き(初心者向け結論)
最後に、判断を1行でできるようにまとめます。
- 売上が増えるほど、作り込みより“運用設計”が価値になる
- 連携は「在庫・配送・会計」を優先し、CRM/MAは二段階目
- 拡張は 最小構成 → 検証 → 追加 で育てる
- 高負荷は 画像→キャッシュ→DB→監視 の順で潰す
他サービス比較:SaaS/ASP・モール・フルスクラッチとどう違う?
EC-CUBEを「どの立ち位置で使うか」を整理すると、比較が一気にラクになります。
- EC-CUBE(ダウンロード版):自社サーバーに入れて運用する“自社運用型”
- EC-CUBE(クラウド:ec-cube.co):インフラ保守・運用を任せつつカスタマイズも狙う“ハイブリッド型”
- EC-CUBE Enterprise:大規模ECの非機能(性能/可用性/セキュリティ等)を前提にした“伴走込み”
- SaaS/ASP:Shopify / BASE / STORES / makeshop / カラーミー など、運用の多くをサービス側が担う
- モール:楽天市場・Amazonなど、集客基盤を借りて販売する
- フルスクラッチ:ゼロから独自開発(自由度最大・責任も最大)
比較軸(導入スピード/自由度/運用負担/セキュリティ/総コスト)
初心者が判断しやすいように、よくある選択肢を“現実の運用”で比較します。
| 比較軸 | SaaS/ASP | モール | EC-CUBE | フルスクラッチ |
|---|---|---|---|---|
| 導入スピード | 最速(即日〜) | 最速(審査〜) | 中(環境準備/構築) | 遅い(要件定義〜) |
| 自由度 | 中(制約あり) | 低(仕様・表現制限) | 高(カスタム前提) | 最高 |
| 運用負担 | 低(保守は提供側) | 低〜中(運用ルール多め) | 中〜高(更新/監視が必要) | 最高(全部自前) |
| セキュリティ責任 | 共同責任(主に提供側+運用側) | 共同責任(プラットフォーム+運用側) | 自社比率が高い(特に自社運用) | ほぼ自社 |
| 総コスト(TCO) | 予測しやすいが“積み上がる” | 手数料が重くなりがち | 作り込み次第で最適化できる | 初期・運用とも高くなりやすい |
| SEO/集客の主戦場 | 自社ドメインで育てやすい | モール内検索が主戦場 | 自社ドメインで育てやすい | 自社次第 |
「結局どれが安い?」は売上規模で逆転します。
小さく始めるならSaaS/モールが強い一方、要件が増えるほど EC-CUBE/個別開発の“設計のうまさ”が効くイメージです。
(料金体系の“例”として:楽天市場は出店プランと費用体系が公開されています。Amazonも出品プランと商品カテゴリ別の販売手数料が案内されています。)
Shopify等と比較したときに差が出るところ
ここは「機能の多さ」より、運用のしかたで差が出ます。

1) カスタマイズの“上限”と“責任範囲”
- Shopify(SaaS):拡張はアプリ中心。できることは多い一方、プラットフォーム制約はあります(できないことは回避策が必要)。
- EC-CUBE(自社運用):コードとDBを握れるため、要件の上限が高い。その代わり、更新・監視・障害対応の比重が上がります。
- ec-cube.co(クラウド):インフラ保守・運用をサービス側が担う設計なので、EC-CUBEの自由度を活かしつつ運用負担を下げたいときの選択肢になります。
2) 料金の“見え方”(固定費+従量費+追加費)
比較で事故りやすいのがここです。初心者は「月額」だけ見てしまいがちですが、実務では以下が効きます。
- 決済・取引関連の手数料
- アプリ/プラグイン費
- テーマ/制作費
- 運用保守費(人件費 or 外注費)
Shopifyはプランとロケーションにより価格や手数料が変動しうるため、公式のプラン/料金ページとShopify Paymentsの案内を前提に確認するのが安全です。
エンタープライズ帯はShopify Plusの料金体系も公開されています。
一方、国内ASPは「無料〜月額課金」など幅があり、例えばBASEは料金プランの考え方を公開しています。
STORESやカラーミーショップ、makeshopも公式にプランを提示しています。
3) 集客の作り方(モール vs 自社)
- Shopify/EC-CUBE(自社EC):広告・SNS・SEOなど“自分の集客設計”で伸びる
- 楽天/Amazon(モール):モール内の集客・信頼(レビュー等)を借りられる代わりに、表示ルールや手数料の影響が大きい
「自社の資産としてドメインを育てたい」なら自社EC寄り、
「まず売れる場所で検証したい」ならモール寄りが合いやすいです。
意思決定テンプレ(要件→体制→予算→期限で選ぶ)
迷ったら、次のテンプレで“点数化”するとブレません(社内説明にも強いです)。
ステップ1:要件を3段に分ける
- Must(必須):これがないと事業が成立しない
- Should(できれば):あると競争力が上がる
- Nice(余裕があれば):後で追加でもよい
例:BtoB価格、見積/掛け払い、複雑な在庫同期、会員ランク、定期購入など
ステップ2:体制の“現実”を固定する
次のどれかで決め打ちしてください。
- 内製あり(更新・保守・障害対応まで見られる)
- 外注前提(保守契約が取れる/制作会社の選定ができる)
- 保守人材ゼロ(止められない=SaaS寄りが安全)
EC-CUBEは自社運用かクラウドかでも責任範囲が変わるため、ここで分岐させます。
ステップ3:予算は“初期”ではなく“TCO”で置く
- 初期:構築・デザイン・連携・テスト
- 月次:サーバー/保守/監視/障害対応
- 変動:決済手数料、モール手数料、アプリ/プラグイン費
(モールは費用体系が明示されているので、試算しやすいのが利点です。)
ステップ4:期限(いつまでに何を出すか)で“負け筋”を潰す
- 2〜4週間で開店したい:SaaS/モール優位
- 3〜6か月で独自要件込み:EC-CUBE(+適切な制作/保守体制)
- 半年〜1年で完全独自:フルスクラッチ(ただし要件を絞らないと爆発)
最後に:ざっくり結論の出し方(早見)
- 最短で始めたい/運用に人を割けない → SaaS/ASP(Shopify/BASE/STORES等)
- 集客基盤を借りて検証したい → モール(楽天/Amazon)
- 独自要件が強い/データと体験を握りたい → EC-CUBE(自社運用 or ec-cube.co)
- 要件が特殊で長期投資できる → フルスクラッチ(ただし体制が前提)
バージョンアップと移行:後回しにしないための計画
EC-CUBEは「自由度が高い」ぶん、放置すると セキュリティ・決済・サーバー要件の変化で、ある日まとめて“詰む”ことがあります。
後回しにしないコツは、更新をイベントではなく運用(ルーチン)にしてしまうことです。
- セキュリティ修正は“即対応枠”
- 機能追加や改善は“定期メンテ枠”
- 大きな移行は“プロジェクト枠”(棚卸しから始める)
アップデートの種類(影響が小さい更新/影響が大きい更新)
EC-CUBEの更新は、体感として「小さく直す更新」と「仕組みごと触る更新」に分かれます。
初心者はまず、更新のタイプ別に“やること”を固定すると安全です。
| 更新のタイプ | 例 | 影響の出やすさ | 事前にやること(最低限) |
|---|---|---|---|
| 影響が小さい更新 | 不具合修正・軽微な改善・セキュリティFix | 低〜中 | 検証環境で購入導線テスト、バックアップ |
| 影響が大きい更新 | 大きな機能追加、内部仕様や周辺ライブラリ更新、製品世代の移行(2→3→4など) | 中〜高 | 要件棚卸し、プラグイン互換確認、テンプレ改修の見直し、移行手順の設計 |
「影響が小さい更新」でも事故る典型
- テンプレートの独自改修が多い(差分が追いにくい)
- プラグインが多く、更新で競合しやすい
- 本番だけで更新してしまう(検証環境がない)
更新作業の“最短で安全”な基本手順
更新方式(手作業/Composer/アップデート用プラグイン等)に関わらず、考え方は共通です。
- ファイルとDBをフルバックアップ
- メンテナンスモードでフロントを止める
- 本体更新(ソース差し替え・依存関係更新など)
- DB更新(マイグレーション等)
- キャッシュや生成物を整理
- 購入導線・受注・メール・管理画面を確認
- 問題なければ メンテ解除
ポイント:更新を“手順書化”し、担当が変わっても同じ品質で回せる状態にすると、後回しが減ります。
費用相場がブレる理由(カスタマイズ量・プラグイン依存・決済要件)
「同じEC-CUBEの更新なのに、見積が倍以上違う」ことは普通に起きます。理由は、更新費の本質が “差分吸収コスト” だからです。
1) カスタマイズ量:差分が多いほど“検証と修正”が膨らむ
- テンプレートを大きく改造している
- コアに直接手を入れている(改修履歴が追いづらい)
- 画面の表示だけでなく、受注・会員・決済に触っている
特に「購入完了までのどこか」を触っている場合、テスト範囲が跳ね上がります。
2) プラグイン依存:互換性と“更新停止”のリスクが直撃する
- 本体更新にプラグインが追従していない
- 複数プラグインが同じ箇所を拡張して競合する
- 不具合時に切り分けが難しい(ブラックボックス化)
費用がブレるのは、互換確認→代替案検討→差し替え実装が必要になるからです。
3) 決済要件:仕様変更の“外圧”がスケジュールを揺らす
決済はECの生命線なので、更新時のチェックが増えやすいです。
- 決済会社側の仕様変更(管理画面設定、署名方式、リダイレクト方式など)
- 本番環境でしか再現しにくい挙動(3DS/本人認証など)
- 決済失敗=売上損失なので、受入基準が厳しくなる
4) データ量:移行データが多いほど、検証の工数が増える
- 会員・受注・商品・画像が多い
- 履歴をどこまで残すか(過去注文の扱い)
- 文字コードや項目定義の差(旧→新)
移行プロジェクトの進め方(棚卸し→設計→実装→検証→切替)
2系/3系→4系などの移行は、実務的には「更新」より リニューアル(再構築)に近いです。
失敗しない進め方を、順番にまとめます。
1) 棚卸し(現状を“見える化”する)
まず、判断材料を揃えます。ここが弱いと全工程がブレます。
棚卸しチェックリスト
- EC-CUBEの現行バージョン
- プラグイン一覧(目的・重要度・代替可否)
- 独自改修一覧(どの画面/処理に何をしたか)
- 決済・配送・税・帳票の運用ルール
- 外部連携(在庫/基幹/会計/配送/MAなど)
- 重要KPI(CV、売上、エラー率、速度)
コツ:機能の羅列より「業務フロー(受注→出荷→返品/返金)」で整理すると漏れません。
2) 設計(“残す・捨てる・作り直す”を決める)
移行は「全部持っていく」ほど高くつきます。設計で線引きします。
- 残す:売上に直結し、今も使っているもの
- 捨てる:使っていない/効果が薄い/保守不能なもの
- 作り直す:旧設計の歪みを直したいもの(カテゴリ設計、テンプレ、検索導線など)
この段階で、移行方式も決めます。
- データ移行支援プラグインで引き継ぐ範囲
- CSV等で再投入する範囲(履歴は簡易移行にする等)
- 運用ルールの見直し(権限、ログ、メンテ手順)
3) 実装(“最小で動く”を先に作る)
いきなり全部作らず、順番を守ると安全です。
実装の順番(おすすめ)
- 本体(最新系)+基本テーマで起動
- 決済・配送・税(購入導線の核)
- 商品・カテゴリ・会員(運用の核)
- 受注・帳票・CSV(業務の核)
- 連携・拡張(最後に積む)
4) 検証(テストは“購入導線中心”に固定)
初心者はテスト観点が散らばりがちなので、固定セットを用意します。
最低限の受入テスト(固定セット)
- 商品一覧 → 詳細 → カート → 購入完了(主要決済すべて)
- 注文受付メール / 発送メール(送信・文面・差込)
- 管理画面:受注ステータス運用、CSV出力
- 返品/返金の運用(ステータスと会計整合)
- 主要ページの速度(トップ/カテゴリ/商品)
5) 切替(止め方・戻し方までが計画)
切替当日に慌てないために、事前に決めます。
- データ凍結の時間(受注の締め)
- 移行データの取得タイミング
- DNS切替/公開手順
- ロールバック条件(戻す判断基準と手順)
- 切替後の監視(決済失敗率、500エラー、CV)
重要:本番前に「テスト環境で移行リハーサル」を1回やるだけで成功率が上がります。
よくある質問(Q&A):導入前・導入直後・運用中の疑問を一掃
「無料で使える」はどこまで?
結論から言うと、EC-CUBEは 本体を無償でダウンロードして利用できます。
ただし「無料=運営コストがゼロ」ではありません。発生しやすい費用を、先に整理しておくと判断ミスが減ります。
無料でできること/お金がかかりやすいところ
| 区分 | 内容 | つまずきポイント |
|---|---|---|
| 無料でできる | 本体ダウンロード、基本機能でのEC運営、ソース改修(ライセンス条件の範囲内) | 配布・再頒布の扱いでライセンス判断が必要になることがある |
| ほぼ確実に費用が出る | サーバー/DB、ドメイン、SSL、監視、バックアップ | 「急に重い」「突然落ちる」はインフラ起因が多い |
| 目的次第で費用が増える | デザイン制作、機能追加、外部連携、保守契約 | “最初に作り込みすぎる”ほど月次負担が増える |
| 決済まわり | 決済代行の手数料、審査、3Dセキュア対応、決済プラグイン | プラグイン更新停止=運用リスクに直結 |
初心者が誤解しやすい点
- 「初期費用」よりも「保守・更新・障害対応」の積み上げが効いてくる
- 決済・配送・メールなど、外部サービスは EC-CUBE単体では完結しない(運用設計が必要)
保守ができない場合はどうする?(外注・クラウド・体制づくり)
保守に不安があるなら、最初から「運用の逃げ道」を用意するのが正解です。おすすめは次の3ルートです。
1) クラウド型を選ぶ(保守運用をサービス側に寄せる)
- サーバー保守・監視・メンテの負担を減らしたい場合に向きます
- 「作るより売る」「運用を回す」ことに集中しやすい
2) 外注(パートナー/制作会社)で保守契約を結ぶ
外注は“丸投げ”ではなく、窓口と責任範囲を決めると失敗しません。
- 依頼時に決めること
- 対応範囲:本体更新、プラグイン更新、障害一次対応、サーバー含むか
- SLA:対応時間、緊急時の連絡手段、復旧目標
- 権限:誰が管理画面・サーバー・決済管理画面を触るか
3) 最小の社内体制を作る(ゼロ→1にする)
エンジニアがいなくても、次の役割が社内に1人いるだけで運用が安定します。
- 運用責任者(非エンジニアでもOK):売上影響の判断、外注との窓口
- 更新担当(兼務でもOK):検証環境でのテスト実施、手順書管理
- 情報管理者:ID/パスワード、権限、バックアップ保管
コツ:困ったら「ログ」「再現条件」「直前に変えたもの(更新/設定/プラグイン)」の3点だけ揃えて相談すると、解決が早いです。
決済・3Dセキュア対応はどう考える?
3Dセキュアは、ざっくり言うと カード決済の本人認証を強める仕組みです。
EC-CUBE側だけで完結せず、基本的には 決済代行会社・決済手段・利用プラグインの組み合わせで対応可否が決まります。
判断のしかた(初心者向けチェックリスト)
- 使う決済代行は 3Dセキュアに対応しているか
- その決済の EC-CUBE向けプラグインが“対応バージョン”で提供されているか
- プラグインが 継続的に更新されているか(更新頻度・サポート窓口)
- 本番前に 検証環境で購入テストできるか(認証フロー含む)
運用での現実的な方針
- 決済は「後で変える」が難しいため、導入前に 要件として固定する
- 3Dセキュア絡みは、障害が起きると売上に直撃するので
- ✅ 仕様変更に追従できる体制(外注含む)
- ✅ 更新・検証の手順書
を最初から持つのがおすすめです。
よくあるエラーと対処(DB/権限/メール/プラグイン)
ここでは「原因の当たり」を最短で付けるために、項目ごとに まず見る場所を固定します。
(いきなり全部を疑うと、時間だけ溶けます)
DB(データベース)関連:接続できない/初期化で止まる
まずは 入力情報と接続経路を確認します。
- 確認ポイント
- ホスト名・DB名・ユーザー名・パスワードが合っているか
- DBサーバーが起動しているか
- EC-CUBEを置いているサーバーからDBへ到達できるか(ネットワーク/ポート)
- 分離構成(別サーバーDB)の場合、接続制限(FW/セキュリティグループ)で弾かれていないか
権限(パーミッション)関連:インストールで権限チェックに落ちる/更新後に書き込みできない
権限問題は「直す」より先に、どこに書き込みが必要かを把握すると安全です。
- ありがちな原因
- 書き込みが必要なディレクトリに権限がない
- 逆に、重要ファイルに書き込み権限を付けすぎている(セキュリティリスク)
- 対処の考え方
- “動かすための権限”と“本番で絞る権限”は別もの
- 本番は、必要箇所以外はなるべく書き込めない方が安全
メール関連:メールが届かない/送信でエラー
メールは「EC-CUBEの設定」だけではなく、サーバー側の送信方式にも影響されます。
- まず確認すること
- 管理画面(またはインストール時)で設定した送信元情報が正しいか
- 送信にSMTPを使うのか、サーバーの送信機構(sendmail等)を使うのか
- 迷惑メール判定(SPF/DKIM/DMARC)で落ちていないか
“届かない”は、アプリの設定ミスとメール基盤(DNS含む)の問題が混ざりやすいので、ログと送信テスト結果を必ず残すのがおすすめです。
プラグイン関連:入れたら画面が真っ白/システムエラー
プラグイン起因は、切り分けが命です。
- まずやること
- プラグインを一旦無効化できるか確認
- キャッシュが悪さをしていないか確認(キャッシュ削除/クリア)
- プラグインの対応バージョン、依存関係の有無を確認
- 見る場所
- ログ(どの処理で落ちたか)
- エラー発生の手順(再現性)
切り分け手順(ログ→再現→影響範囲→暫定対応→恒久対応)
トラブル対応は、次の順番を固定すると早くなります。
- ログを確認:いつ、どの画面で、何が起きたか
- 再現条件を作る:どの操作で必ず起きるか(起きたり起きなかったりを潰す)
- 影響範囲を見積もる:購入導線に影響するか/管理だけか/特定ユーザーだけか
- 暫定対応:売上への影響を止める(プラグイン無効化、機能停止、切り戻し等)
- 恒久対応:原因の修正、更新手順の改善、監視追加、再発防止の手順書化
✅ ここまで揃うと、外注やパートナーに相談する際も「状況説明」が短く済み、解決までが一気に早くなります。
学習リソース:公式情報・ドキュメント・コミュニティの歩き方
EC-CUBEは「管理運用(店長・運用担当向け)」と「開発(エンジニア向け)」で読む場所が分かれています。
まずは 自分が今つまずいている領域を切り分けて、参照先を固定すると学習効率が一気に上がります。
まず読むべき一次情報(公式サイト/開発者向けドキュメント/マニュアル)
1) 公式サイトのサポート導線で“全体地図”をつかむ
最初に公式のサポートページを見て、次の3つの入口を把握しておくと迷子になりません。
- 開発者向けドキュメント(開発・カスタマイズの情報)
- 管理・運用マニュアル(管理画面操作・運用)
- FAQ(よくある質問と公式見解)
「何がどこにあるか」を先に覚えるのが最短です。
2) 管理・運用マニュアルで“日々の運用”を固める(運用担当・初心者向け)
管理画面の操作に関しては、まずここが一次情報です。
探すときは、次のように メニュー名で引くのがコツです。
- 商品管理(商品登録、カテゴリ、規格、CSV)
- 受注管理(受注一覧、出荷、帳票、ステータス)
- 会員管理(会員一覧、会員設定)
- コンテンツ管理(ページ、レイアウト、ブロック、キャッシュ)
- 設定(特商法、配送、支払、税率、メール、権限、セキュリティ、ログ)
初心者が最初にやるべきは、機能を全部読むことではなく 「自分の業務フローに必要な画面」だけを一度通読することです。
3) 開発者向けドキュメントで“やっていい改修・危ない改修”を知る(開発担当向け)
開発やカスタマイズで迷ったら、まず開発者向けドキュメントが基準になります。
特に初心者が先に押さえると事故が減るページ
- システム要件(必要なPHP/DBなどの前提)
- インストール(最短の手順・初期設定)
- プラグイン開発(作法・インストール・トラブルシュート)
- 設定変更(デバッグ、セッション、タイムゾーン等)
- セキュリティ関連(脆弱性への注意喚起・対応方針)
「とりあえず動かす」→「安全に運用する」→「拡張する」の順に読むと理解がつながります。
4) オーナーズストア(拡張機能・テンプレート)の“使い方”を一次情報で押さえる
プラグインやテンプレート導入で迷う原因は、だいたい次のどれかです。
- 認証キー周りの手順を飛ばした
- 対応バージョンが合っていない
- 有効化後の設定が未実施
- キャッシュが残って挙動が変に見える
管理・運用マニュアル側に「プラグイン導入の流れ」が整理されているので、導入作業はその手順に寄せると安全です。
5) GitHubで“今の最新事情”を追う(開発者・制作会社向け)
EC-CUBEはオープンに開発されているため、GitHubを見ると
- 動作確認環境
- 開発の進め方
- 変更の流れ(更新状況)
などが把握できます。
ただし初心者は、GitHubを“学習の中心”にするより、公式ドキュメントで基礎を固めてから、必要なときだけ参照するのがおすすめです。
迷ったときの「読む順番」テンプレ
- 店舗運用が目的:
公式サポート導線 → 管理・運用マニュアル → FAQ →(必要なら)オーナーズストア手順 - 開発・構築が目的:
公式サポート導線 → 開発者向けドキュメント(要件/インストール)→ GitHub → プラグイン/カスタマイズ
詰まったときの相談先(サポート・パートナー・コミュニティ)
相談は「誰に」「何を」聞くかで成功率が変わります。
EC-CUBEは利用形態によって相談先が変わるので、次のルールで覚えるとブレません。
1) まずは公式FAQで“公式回答”を確認する
困ったら、いきなり質問投稿する前に、FAQと「お問い合わせ前に確認してほしい内容」をチェックします。
ここに 推奨される相談先の分岐が整理されています。
2) ダウンロード版での不具合・工夫の相談は「開発コミュニティ」が基本
ダウンロード版の場合、公式サポート窓口で個別の調査・対応ができない旨が案内されています。
そのため、軽微な不具合や運用の工夫は 開発コミュニティ(フォーラム等)で、利用者同士の解決が基本ルートになります。
投稿の質を上げると回答が早くなります。
- EC-CUBEバージョン
- サーバー環境(PHP/DB/OSなど)
- 何をしたら起きるか(再現手順)
- ログの要点(エラーメッセージ、発生時刻)
- 直前に変えたもの(更新、プラグイン導入、設定変更)
3) クラウド版(ec-cube.co)は「クラウド版の窓口」へ
クラウド版を使っている場合は、案内されている窓口・手順に沿って問い合わせます。
クラウドは運用範囲が異なるので、ダウンロード版と相談ルートを混ぜないのがポイントです。
4) 事業として止められないなら「パートナー/制作会社」に寄せる
「売上に直撃する」「担当者がいない」「保守を継続したい」場合は、コミュニティだけで完結させない方が安全です。
選択肢
- インテグレートパートナー(構築・カスタマイズ・保守の依頼先候補)
- 公式サイトの“相談導線”から、支援先を探す
依頼時は、最低限この3点を整理すると見積もりが安定します。
- 目的:何を実現したいか(要件)
- 期限:いつまでに必要か
- 体制:運用担当は誰で、更新や障害対応は誰が持つか
EC-CUBEで失敗しないためのチェックリスト
EC-CUBEは「自由度が高い」ぶん、失敗パターンもだいたい決まっています。
このチェックリストを 導入前→公開前→運用 の順に潰していくと、事故の確率が大きく下がります。
導入前チェック(要件・体制・予算・期限)
要件(何を実現したいか)
- [ ] 取り扱い形態(BtoC/BtoB、定期購入、見積、会員ランクなど)が明確
- [ ] 決済要件(カード/後払い/銀行振込/代引、3Dセキュア、領収書発行)が確定
- [ ] 配送要件(温度帯、同梱、日時指定、追跡番号、出荷締め時間)が確定
- [ ] 税・インボイス・特商法表示など、法務/会計の要件が確定
- [ ] 外部連携(在庫/基幹、会計、倉庫、CRM/MA)の優先順位が決まっている
体制(誰が守るか)
- [ ] 運用責任者(意思決定・窓口)が決まっている
- [ ] 保守担当(更新・検証・障害時の初動)が決まっている(内製/外注/クラウド)
- [ ] 権限設計(誰が管理画面の何を触れるか)が決まっている
- [ ] 検証環境(ステージング)を用意する前提になっている
予算(総コストで見る)
- [ ] 初期:構築/デザイン/カスタマイズ/テストの見積がある
- [ ] 月次:サーバー/監視/バックアップ/保守の見積がある
- [ ] 変動:決済手数料、プラグイン費、外部サービス費を見込んでいる
- [ ] 「無料=ゼロ円ではない」ことを関係者で合意している
期限(どこまでをいつまでに)
- [ ] “最低限の公開範囲”(MVP)が決まっている(例:主要決済+主要配送+最低限のページ)
- [ ] 公開後に足す機能(第2フェーズ)を分けている
- [ ] 大きな移行や大改修は、繁忙期を避ける計画になっている
公開前チェック(決済・メール・セキュリティ・バックアップ)
決済(売上の生命線)
- [ ] 購入完了まで(カート→注文→決済→完了画面)を、主要決済で全パターン通した
- [ ] 決済失敗時の戻り方(再決済、在庫引当の扱い)が想定どおり
- [ ] 3Dセキュア等の認証フローが、検証環境でも確認できている(可能な範囲で)
- [ ] 返金/キャンセル時の手順(運用・会計)が決まっている
メール(届かないと不安が増える)
- [ ] 注文受付/発送/キャンセルなど主要メールが送れる
- [ ] 差出人・返信先・文面(特商法の表記含む)が整っている
- [ ] 迷惑メール対策(送信方式、必要ならDNS設定の確認)ができている
- [ ] メールの送信失敗を検知できる(ログ・アラート・運用ルール)
セキュリティ(最初から“守れる形”に)
- [ ] 管理画面への防御:IP制限 or 2段階認証 or 強固な認証ルールがある
- [ ] 権限が最小化されている(管理者を増やしすぎない)
- [ ] ログイン履歴・エラーログの確認手順がある
- [ ] 不要な公開(設定ファイル、不要ディレクトリなど)がない
- [ ] セキュリティ情報(脆弱性・チェックリスト)を追う習慣を作った
バックアップ(“戻せる”が正義)
- [ ] DBとファイルの両方をバックアップしている
- [ ] 世代管理(直近だけでなく、数日前も残る)
- [ ] 復元手順がある(誰が、どこまで、どの順で戻すか)
- [ ] 可能なら「復元テスト」を一度やっている
運用チェック(更新・監視・改善サイクル)
更新(止めないための習慣化)
- [ ] 更新ルールがある(セキュリティ修正は優先、機能改善は定期)
- [ ] 本番更新前に、検証環境で購入導線テストをする
- [ ] 更新前にバックアップ、更新後に指標確認(売上/CV/エラー/速度)を行う
- [ ] プラグインは“最小構成”を維持し、追加理由を記録している
監視(気づけないが一番怖い)
- [ ] 死活監視(サイトが見えるか)
- [ ] エラー監視(500増加、決済失敗増加)
- [ ] リソース監視(CPU/メモリ/DB/ディスク)
- [ ] 重要導線(カート→購入完了)を定期的に確認する仕組みがある
改善サイクル(SEO→CV→LTVを回す)
- [ ] 検索(表示/クリック/順位)とCV(購入率)を同時に見ている
- [ ] 商品ページの不安要素(送料/納期/返品/保証/FAQ)を継続的に改善する
- [ ] カテゴリ・特集ページを「検索意図別(比較/用途/悩み解決)」に育てる
- [ ] リピート施策(会員・クーポン・購入後コンテンツ)に手を付けている
まとめ
EC-CUBEは、国産のEC構築ツールとして実績があり、自社要件に合わせて作り込める自由度が大きな強みです。
一方で、SaaS/ASPのように“全部お任せ”ではないため、成功のカギは 導入前の線引きと 公開後の運用設計にあります。
この記事のポイントを、最後に要点だけ整理します。
EC-CUBEが合うケース
- 独自要件(BtoB/見積/複雑な受注・在庫連携など)があり、拡張前提で設計したい
- データや顧客体験を自社で握り、長期で改善していきたい
- 内製または外注で、更新・保守・障害対応を回せる体制がある(または作れる)
別の選択肢が安全なケース
- 最短で開店したい/運用に人を割けない/保守体制を作れない
- まずは小さく検証し、売れ筋や運用の型を固めたい(SaaSやモールが向く)
失敗を避けるための要点(ここだけは押さえる)
- 「無料」の判断は本体価格ではなく、総コスト(サーバー・保守・決済・拡張)で見る
- プラグインは“最小構成から育てる”。導入理由と影響範囲を記録する
- 公開前に、決済・メール・セキュリティ・バックアップをチェックリストで潰す
- 運用では、更新(アップデート)を後回しにしない。検証環境→バックアップ→手順書化が基本
- SEOは、テクニカルだけでなく、商品ページ(不安解消・FAQ・比較)とカテゴリ導線の設計で差がつく
EC-CUBEは「導入したら終わり」ではなく、運用で育てるEC基盤です。
だからこそ、最初に要件と体制を固め、無理のない範囲で拡張しながら改善を回せれば、長期的に強い自社ECへ育てられます。
もし次にやることを1つだけ選ぶなら、まずは
「要件(Must/Should/Nice)」「保守体制(内製/外注/クラウド)」「予算(TCO)」「期限(MVP)」
を紙に書き出してみてください。ここが決まると、EC-CUBEを選ぶべきか、別の選択肢が安全かが一気にクリアになります。
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